ペルー ウマラ新政権下での石油・ガス産業の行方

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JOGMECが、南米ペルーのウマラ新政権下での石油・ガス産業の行方について、レポートしています。


・7月末に就任したウマラ新大統領は、当初、LNG 輸出に反対していたが、選挙キャンペーン中にその主張を次第に穏健化、当選後には、投資を保証、契約を尊重し、国有化や契約の一方的な変更はないとしている。議会で与党の議席数が少ないことや閣僚やPerupetro、Petroperu のトップにテクノクラートが任命されたことからも、ガルシア政権の政策が大きく変更されることはないと見られている。しかし、ウマラ大統領は、Camisea ガス田で生産されるガスをより多く国内市場に供給することを目指していると伝えられており、Camisea コンソーシアムとの協議の行方が注目される。

・2010年6月に操業を開始したペルーLNGは、稼働開始から1年間にLNG703万m3を韓国、スペイン、米国等に輸出、順調に操業を続けている。2011年11月からは15年間にわたり、メキシコのManzanilloLNG受入基地にLNGを供給する予定となっている。一方、ペルー国内の天然ガス消費量も急増しており、LNG輸出開始に伴い、Camiseaガス田からの供給でLNG輸出と国内需要の両方を賄うことができるのかについて懸念が高まった。政府はCamiseaガス田で生産されるガスを国内に優先的に供給することを決定したり、パイプラインを整備したりすること等で対処している。

・探鉱・開発活動の停滞から1980 年代前半のピーク時から半減していたペルーの原油生産量は、政府の外資導入政策が奏功し、2010 年には15.7 万b/d まで回復した。今後の生産増については、エクアドル国境付近の重質油開発に期待がかかる。

・探鉱・開発促進のため、ペルー政府は近年、頻繁にライセンスラウンドを実施している。2010 年実施のライセンスラウンドでは、25 鉱区のうち14 鉱区が付与された。Emerald Energy(Sinochem)が最多の5鉱区を落札し、中国企業のペルー上流部門への関心の高さが注目を集めた。Perupetro は9 月初め、年内にMaranon、Ucayali、Santiago Basin等の22鉱区を対象にライセンスラウンドを実施したいと発表した。また、今後の鉱区付与について全て入札に基づいて行うことを検討していると発表した。