JOGMECが、最近のブラジルの石油・ガス田の探鉱・開発状況について、レポートしています。
1. Petrobrasは北東部Cear??盆地の深海で、初の油田発見に成功した。西アフリカ沿岸域で良好な探鉱の結果が得られていることから、地質構造に相関性があるとされるブラジル北東部沖合も有望な海域と目されてきたが、仏領ギアナ沖合のZaedyus油田発見と今回のCear??盆地深海での油田発見で、同海域への関心がさらに高まるとみられている。
2. Santos盆地では、2006~2010年にプレソルトでの油田発見を狙って探鉱井32坑が掘削され、20以上の油田(300億boe以上)が発見された。これは北海やアンゴラ沖合等有望とされる深海での探鉱の実績を上回る数字だ。その後も、BM-S-8鉱区でSantos盆地プレソルト最大規模のCarcara油田が発見されるなど、油田発見が相次いている。Lula油田はガスパイプライン完成で石油生産量を引き上げることが可能となり、Cernambi/Iracema油田ではテスト生産が開始され、Guar??油田については2013年1月の生産開始を目指し開発が進んでいる。
3. Campos盆地のプレソルトで発見された油田の可採埋蔵量は合計で30億bblとなっている。これらの油田は、油田ごとの可採埋蔵量は少ないものの、既存のインフラを利用できるものも多く、開発は比較的容易で、生産開始時期も早い。BM-C-33鉱区ではG??vea、P??o de A????car油田など規模の大きい油田が発見されている。
4. プレソルト開発に関する法案は2010年末に成立したが、ロイヤルティ配分に関する条項についてはルラ前大統領が拒否権を発動し、国会で審議が行われている。同法案成立後に実施するとされている第11次ライセンスラウンドは2013年、プレソルトエリアの鉱区を対象とするライセンスラウンドは2013~2014年に行われる見通しである。ライセンスラウンドが実施されないことから、新規に探鉱できる鉱区がなく、探鉱活動の停滞を招くのではないかと懸念されている。
5. ライセンスラウンドが行われないため、ブラジルに参入を考える企業は上流資産購入の機会をとらえるしかなく、上流権益の売買が増加している。
6. Total はCampos 盆地のプレソルトエリア内にあるXerelete鉱区のオペレーターをPetrobrasから引き継ぐこととなり、ANPもこれを承認した。プレソルト開発に関する法律で、プレソルト新規鉱区についてはPetrobrasが全鉱区のオペレーターとなると規定したにもかかわらず、Petrobrasがこのようにプレソルトで油田発見を狙える鉱区のオペレーターを譲り、政府もこれを承認したのは、政府とPetrobrasが、資金面、操業面からPetrobrasが必要とされる増産を実現できないと判断し、Petrobrasを唯一のオペレーターとして探鉱・開発を推進する方針を変更せざるを得なくなったからではないかとの見方も出ている。