TWR:Traveling Wave Reactor 進行波炉の解説

昨日、ビル・ゲイツが出資しているTerraPowerという米国の原子力ベンチャーと、東芝が次世代型原子炉の共同開発を検討しているというニュースが、伝えられました。


TerraPowerが、開発しているのは、Traveling Wave Reactor(トラベリング・ウェーブ・リアクター:進行波炉)と呼ばれるもので、小型の高速増殖炉と考えても良いと思います。
このタイプの原子炉は、ロシアでも開発中で、今後、各国で開発競争が激しくなると思います。

TWRについては、Missing In Actionというブログで分かり易く解説されています。

●上記のブログから引用
【TWRの特徴】

1.劣化ウランU238)を燃料とすることが可能なので、従来は核燃料を精製する際に廃棄物として捨てられていた副産物を燃料とできる。廃棄物は世界中に大量に貯蔵されているので燃料には困らない。

2.核分裂性物質(U235)が必要なのは点火時のみ。

3.一旦燃料に点火すれば、燃料供給も、使用済み燃料の除去もなしで50~100年(理論上は無限に)動き続けることができる。

4.核燃料の精製施設、再処理施設が不要

5.ウラン濃縮が不要なため核兵器の拡散を防げる

ウラニウム系の反応式】

U238+n→U239→Np239+β→Pu239+β

まず燃料親物質となるウラニウム238が高速中性子を捕らえて不安定なウラニウム239になる。
これはすぐに崩壊して同様に不安定なネプチウム239とβ粒子になる。
さらにそれが崩壊して核分裂性のプルトニウム239となる。
最終的に生成されたプルトニウム239が核分裂し、エネルギーと中性子を生成し、その中性子が再びウラニウム238がウラニウム239になるのに使われるわけだ。

劣化ウランの資源量】
米国には核燃料精製時に使用した劣化ウランが大量に貯蔵されており、Terra Power社によればそれは100兆ドル相当(2007年)の電力になるらしい。また世界人口の80%に対し、米国の一人当りの電気使用量で1000年以上に渡って電力を供給できるだけの劣化ウランが世界にはあるという。

【TWRの核反応のアニメーション】


◆◆◆