1.前回のまとめ
前回は、1991年の景気後退について、住宅用不動産への資金流入がダブルピークを形成した過程を分析し、景気後退や株価の先行指標としての新規住宅貸付額の有効性を評価しました。
今回は、1997年の景気後退について、同様の分析を行ってみます。
2.1997年の景気後退・・・消費税増税後(3%から5%へ)
(1) 新規住宅資金貸付額の推移
1997年の景気後退時の前後において、新規住宅資金貸付額(4四半期移動平均)は、以下のように、1回のピークを形成して、推移していました。
【主なポイント】
四半期 新規住宅貸付額
1993年3Q 17124.25 ・・・直前のボトム
1996年2Q 45507 ・・・ピーク
ボトムからピークまでの新規住宅貸付額の伸び率・・・ 265.7%
景気後退入り・・・1997年2Q
ピーク・・・1996年2Q=景気後退入りの4四半期前
ピークの確認時期・・・1996年4Q=景気後退入りの2四半期前
以上のように、ピークを確認して、半年後に景気後退入りとなったわけです。
(2) 株価との比較
このように、新規住宅貸付額と株価は、ほぼ、同じ時期にピークを付けていますが、新規住宅貸付額の伸びと比べて、株価の上昇率は鈍くなっています。
新規住宅貸付額のピーク・・・1996年2Q
ピークの確認時期・・・1996年4Q
ピークの確認時期の日経平均株価・・・21034.94
日経平均株価のピーク・・・1996年2Q、21970.56
株価のピークとの比較・・・2Q後に95.7%の価格で売却可能以上のように、新規住宅貸付額のピークを確認して、日経平均を売却すれば、株価のピーク(1996年2Q)よりは、2Qほど遅れますが、ピークに近い値で売却が可能だったということになります。
1991年の景気後退を振り返ると、やはり、株価のピークの2Q後の売却が可能だった言えます。