商品循環 第59回 1920年以前の大麦、原油、銅の価格を調べる

【直近の履歴】
第58回 1920年以前のトウモロコシと綿花の価格を調べる
第57回 1920年以前の農産物価格の推移
第56回 長期金利と商品循環のピークの発生条件

前回は、1920年以前のトウモロコシと綿花の価格データを調べました。
今回は、前回に引き続き、1920年の個別商品の価格推移として、大麦と原油、銅について調べる事にします。

1.大麦

トウモロコシ等と同様に、USDAの以下のサイトから、大麦の価格データも取得出来ます。

USDA QuickStats でCrops を選択。

大麦の場合は、Barley All を選択して、最もデータが古い1875年から1925年までのデータをダウンロードしました。

Year Price ($/Bu)
1875    0.856
1876    0.685
1877    0.633
・・・
1888    0.591
1889    0.415
1890    0.621 <= peak ?
1891    0.522
・・・
1895    0.328
1896    0.296 <= bottom
1897    0.343
・・・
1915    0.514
1916    0.789
1917    1.22
1918    0.962
1919    1.28 <= peak
1920    0.907
1921    0.497


グラフ化すると以下のとおりです。

イメージ 1

前回のトウモロコシとほぼ同様の価格推移になっています。

1890年に小さなピークが見られますが、趨勢的には、この時期も下落トレンドが継続していたと考えられます。

3.原油

econbrowser の James D. Hamilton 教授が作成したレポートに、1860年から2009年の原油価格の推移を表したグラフが載っていました。

History of Oil Shocks

イメージ 2
このグラフは、原油価格の実質価格を100倍の自然対数でプロットしたものです。

まず、1860年の原油価格が非常に大きなピークとなっていることが分かります。

また、1890年のピークは、小さく、趨勢的には、下落トレンドが続いていることが分かります。

さらに、1900年前後には、1920年に匹敵する価格上昇が見られます。

このような原油価格の特徴的な動きの背景には、1860年代以降の激しいデフレの影響があったものと考えられます。

4.銅

USGSのサイトに、1850年から1998年の米国の銅の生産者価格のデータが載っていました。

Annual Average U.S. Producer Copper Price


Year Price(dollar/pound)
1862    22
1863    34
1864    47 <= peak
1865    39.2
1866    34.2
・・・
1891    12.8
1892    11.6
1893    10.8
1894    9.5 <= bottom
1895    10.7
1896    10.8
1897    11.29
・・・
1912    16.48
1913    15.52
1914    13.31
1915    17.47
1916    28.46
1917    29.19 <= peak
1918    24.68
1919    18.19
1920    17.5
1921    12.65

イメージ 3

先ず、1864年に非常に大きな銅価格のピークが見られます。
1890年近辺に大きなピークは見られず、下落トレンドが続いています。
1894年に銅価格がボトムを付けています。
1917年に、二回目のピークを付けています。

5.まとめ

上のように、1920年以前の大麦、原油、銅の価格を調べた結果、次のようにまとめられます。

・1860年前後に、最初の大きな価格のピークが観測される。(原油、銅)
・1890年前後には、大きな価格のピークは観測されない。(大麦、原油、銅)
・1920年前後に、二回目の大きな価格のピークが観測される。(大麦、原油、銅)

6.データ保存先

今回、取得した大麦と銅の価格データは、SkyDriveに保存してあります。
以下のリンク先から、Barley1875_1925.csv、または、copper.xlsを選択してください。

公開データ

次回は、1920年以前のPPIを取得して、分析してみようと思います。