第75回 エネルギー価格指数(実質)の作成と分析
第74回 ウランの実質価格の長期的推移
第73回 石炭の実質価格の長期的推移
前回は、原油、天然ガス、石炭、ウランの実質価格を、総合して、エネルギー価格指数を作り、分析しました。
今回は、トウモロコシの長期的な実質価格の推移を求めて、分析してみます。
1.トウモロコシの名目価格の推移
USDAの以下のサイトから、1866年から2011年までのトウモロコシ価格(名目)を取得出来ます。
USDA QuickStats で Crops を選択→Corn for Grainsを選択→United Statesを選択
このデータを使って、1866年から2011年の145年間にわたるトウモロコシ価格(名目)の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。
1980年代初頭から現在にかけて、トウモロコシの名目価格は、約二倍になっています。
【トウモロコシ名目価格のブレイクポイント】
1867年・・・0.78ドル
1916年・・・1.13ドルでブレイク
1918年・・・1.45ドルでこの時期のピークを付ける
1946年・・・1.53ドルでブレイク
1947年・・・2.16ドルでこの時期のピークを付ける
1973年・・・2.55ドルでブレイク
1983年・・・3.21ドルでこの時期のピークを付ける
1995年・・・3.24ドルでブレイク
2007年・・・4.20ドルでブレイク
2011年・・・6.20ドルでこの時期のピークを付ける
上のように、過去の4回の商品循環の全てで、トウモロコシの名目価格は、過去最高値を更新しています。
2.トウモロコシの実質価格の推移
次に、いつものサイトのCPIを使って、トウモロコシの実質価格を計算してみます。
Historical Value of U.S. Dollars
注)
1)1967年を1ドルとして計算されています。2)データの範囲は、1966年から2010年です。
上のように、実質では、現在のトウモロコシ価格は、1920年当時の3分の1以下です。
また、注目されるのは、1950年頃を境に、トウモロコシの実質価格の変動幅が著しく、小さくなっていることです。
これは、金本位制下では、中央銀行が金利をきめ細かく操作することが不可能な為、物価変動が大きくなり、反対に、管理相場制下では、物価変動が小さくなる傾向にあるからだと考えられます。
【トウモロコシ実質価格のブレイクポイント】
1867年・・・1.86ドル
1874年・・・1.88ドルでブレイク
1881年・・・2.17ドルでブレイク
1901年・・・2.40ドルでブレイク
1908年・・・2.41ドルでブレイク
1916年・・・3.46ドルでブレイク
1917年・・・3.61ドルでこの時期のピークを付ける
3.トウモロコシ価格と商品循環の関係
上のデータから、それぞれの商品循環のピークで、トウモロコシ価格が過去最高値を更新したかどうかを、調べると以下の通りです。
商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)
【名目価格】
1917年~1920年・・・〇
1947年~1950年・・・〇
1980年~1983年・・・〇
2008年~現在・・・〇
【実質価格】
1917年~1920年・・・〇
1947年~1950年・・・×
1980年~1983年・・・×
2008年~現在・・・×
【結論】
・トウモロコシが、商品循環のピークにおいて、過去最高値を更新する確率は、名目価格ベースで100%、実質価格ベースで25%である。
4.データ保存先
今回、作成したトウモロコシ価格(名目と実質)のデータは、SkyDriveに保存しておきました。
ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、corn_prices_price.xls を参照してください。
次回は、大豆の価格について、今回と同様の分析を行ってみたいと思います。