商品循環 第69回 1860年の商品循環のピークを決定する

【直近の履歴】
第68回 1920年の商品循環のピークを再検証する
第67回 長期金利の底における商品循環のピークのまとめ
第66回 150年間の金価格と通貨体制の推移

前回は、1920年の長期金利のピークで出現した、商品循環のピークについて、分析しました。
今回は、さらに、60年前の1860年前後の商品循環のピークについて、調べる事にします。

1.1860年の調査データ

1860年前後の米国の調査データは、残っているものが数少ないのですが、利用可能なCPIと原油価格、銅価格に基づいて、分析することにします。

2.CPI

以下のサイトでは、1800年からのCPIが載っています。

Historical Value of U.S. Dollars

このデータを使って、1855年から1874年までの、CPIの推移をグラフ化すると、以下のとおりです。
1864年に、ピークが見られます。

イメージ 1

【CPIデータ】
Year CPI
1855    28
1856    27
1857    28
1858    26
1859    27
1860    27
1861    27
1862    30
1863    37
1864    47 <= Peak
1865    46
1866    44
1867    42
1868    40
1869    40
1870    38
1871    36
1872    36
1873    36
1874    34

3.原油価格

EIAの以下のサイトでは、1859年から2010年までの原油価格のデータを表示しています。

U.S. Crude Oil First Purchase Price (Dollars per Barrel)


このデータを使って、1859年から1874年の原油価格の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。

イメージ 2

原油価格データ】
year    price
1859    16.00
1860    9.59
1861    0.49
1862    1.05
1863    3.15
1864    8.06 <= Peak
1865    6.59
1866    3.74
1867    2.41
1868    3.62
1869    5.64
1870    3.86
1871    4.34
1872    3.64
1873    1.83
1874    1.17

石油は、1859年に商業利用が始まった当初は、希少価値から非常に高価格でした。
しかし、その後、大量生産によって、急速に価格が低下して、1861年には、当初の3%程度の価格となりました。
従って、その後の1864年が、最初の価格ピークと考えられます。

(参照)商品循環 第12回 1859年から1899年の原油価格

4.銅価格

USGSのサイトに、1850年から1998年の米国の銅の生産者価格のデータが載っています。

Annual Average U.S. Producer Copper Price


このデータを使って、1855年から1874年までの、銅価格の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。
1864年に、ピークが見られます。

イメージ 3

【銅価格データ】
year    price
1855    27
1856    27
1857    25
1858    23
1859    22
1860    23
1861    22
1862    22
1863    34
1864    47 <= Peak
1865    39.2
1866    34.2
1867    25.4
1868    23
1869    24.2
1870    21.2
1871    24.1
1872    35.6
1873    28
1874    22

5.分析結果

以上のデータから、この時期の商品循環のピークは、1864年である可能性が高いと言えます。

ちなみに、この1864年は、1861年から1865年の南北戦争の末期に当たり、北軍の優位が明確になった時期です。

6.データ保存先

今回、作成した原油価格のデータは、SkyDriveに保存しておきました。

ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、crude_oil_yearly_price.xls を参照してください。

次回は、1864年から現在に至るまでの商品循環を総括的に分析していこうと思います。