【直近の履歴】
第60回 1871年から1920年のPPIを調べる
第59回 1920年以前の大麦、原油、銅の価格を調べる
第58回 1920年以前のトウモロコシと綿花の価格を調べる
前回は、1871年から1920年代の米国のPPIを調べました。
今回は、1800年から1920年代の米国のCPIを調べる事にします。
1.PPIの推移第60回 1871年から1920年のPPIを調べる
第59回 1920年以前の大麦、原油、銅の価格を調べる
第58回 1920年以前のトウモロコシと綿花の価格を調べる
前回は、1871年から1920年代の米国のPPIを調べました。
今回は、1800年から1920年代の米国のCPIを調べる事にします。
以下は、前回、調べた1982年1月を100とした場合の1871年から1921年までの1月のPPIの推移をグラフ化したものです。
1870年代初頭から1890年代後半までデフレが続き、生産者物価が5割程度下落し、その後、インフレによって、1920年代初頭にかけて、2倍強上昇していることが分かります。
2.CPI
1800年以降の米国のCPIの年平均は、以下のサイトで取得可能です。
Historical Value of U.S. Dollars
1800年から1925年のCPI年平均は、以下のとおりです。
Year CPI
1800 51
1801 50
・・・
1847 28
1848 26
1849 25 <= 1回目のボトム
1850 25
1851 25
・・・
1862 30
1863 37
1864 47 <= 1回目のピーク
1865 46
1866 44
・・・
1893 27
1894 26
1895 25 <= 2回目のボトム
1896 25
1897 25
・・・
1918 45.1
1919 51.8
1920 60 <= 2回目のピーク
1921 53.6
1922 50.2
1923 51.1
1924 51.2
1925 52.5
1860年から1925年のCPIの推移をグラフ化すると、以下のとおりです。
1860年から1865年にかけて、インフレ(約70%のCPIの上昇)が見られ、その後、1890年代後半にかけて、長期のデフレ(約45%のCPIの下落)が見られ、さらに、1920年にかけて、非常に激しいインフレ(約140%のCPIの上昇)が見られます。
注1.上記のCPIデータのうち、1800年から1912年までは、農家の支払い価格に基づいた、非常に概略的なものです。これは、19世紀において、米国では物々交換の占める割合が多かったこと、また、貨幣取引の場合も、使用されていたのが、イギリスやスペイン、フランスなどの欧州通貨であったことに起因します。米ドルが初めて使用されたのは、1861年でした。
注2.データソース
・Table 121. The Consumer Price Index, 1800-1972,(1) Selected Groups, and Purchasing Power of the Consumer Dollar, 1913-72 -- (1967=100)
- Handbook of Labor Statistics -- 1973
・(1) Indexes from 1800-1912 estimated by splicing the following series: 1800-1851 -- Index of Prices Paid by Vermont Farmers for Family Living;
1851-1890 -- Consumer Price Index by Ethel D. Hoover;
1890-1912 -- Cost of Living Index by Albert Rees.
- Handbook of Labor Statistics -- 1973
・Handbook of Labor Statistics -- 1973; U.S. Dept of Labor; Bureau of Labor Statistics; Washington, DC 20212
・The Value of a Dollar; Prices & Incomes in United States; 1860-1999; Scott Derks, ed.; Grey House pub, Lakeville, CT (c) 1999; p. 2 -- The Value of a Dollar, 1860 - 1997
・"The Value of a Dollar, 1860-1997; Composite Consumer Price Index; 1860=1
- For a full discussion, see John G. McCusker, "How Much Is That in Real Money? A Historical Price Index for Use as a Deflator of Money Values in the Economy of the United States," Proceedings of the American Antiquarian Society, 101, pt. 2 (1992), pp. 297-373.
・Fed. Reserve Bank of Minneapolis -- U.S. Economic Data
・Special requests - Consumer Price Index からcpiai.txtを選択
・Oregon State University Inflation Conversion Factors for Dollars 1665 to Estimated 2015
3.分析
上のCPIの推移を見ると、1860年代の半ばに、激しいCPIのインフレがあったことが分かります。
これは、これまで、トウモロコシや銅などの個別商品価格を調べてきた結果と、ほぼ、一致しています。
例えば、銅は、CPIと同じく、1864年にピークを付けています。
従って、1920年の2循環前に当たる1860年近辺に、商品循環のピークがあったことは、CPIからも確かめられました。
一方で、1920年の1循環前に当たる1890年近辺では、上の二つのグラフを見て分かるように、PPIとCPIともに、長期的なデフレの中にあり、商品循環のピークは、確認できませんでした。
今回、CPIの長期データが得られたので、次回からは、さらに、個別商品の実質価格を計算して、その推移を分析してみようと思います。
4.データ保存先
今回のCPIデータは、SkyDriveにアップしておきました。
以下のリンクを開いて、CPIfrom1800.csvを選択してください。
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