商品循環 第62回 1860年から1920年の商品の実質価格を求める

【直近の履歴】
第61回 1860年から1920年のCPIを調べる
第60回 1871年から1920年のPPIを調べる
第59回 1920年以前の大麦、原油、銅の価格を調べる

前回は、1860年から1920年代の米国のCPIを調べて、米国では、1860年代の半ばに、激しいインフレがあったことや、その後、1890年代の半ばにかけて、長期的なデフレ傾向にあったことを確認しました。

今回は、前回取得した1800年からのCPIを使って、当時の個別商品価格から物価変動分を除いた実質価格を求めてみます。
Historical Value of U.S. Dollars

1.トウモロコシ

以下のチャートは、1866年から1925年までのトウモロコシ価格(1ブッシェル当たり)を、前回取得したCPIで実質価格に換算したものです。(1967年の価格に換算)

1920年前後のトウモロコシ価格の高騰は、実質価格で見ても、非常に大きなものだったことが分かります。
一方、1866年から1900年までの間は、ほぼ、1ドルから2ドルの範囲に収まっており、物価変動分を除くと、穀物価格はこの間、安定していたと言える事が出来ます。

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2.綿花

以下のチャートは、1876年から1925年までの綿花価格(1俵当たり)を、前回取得したCPIで実質価格に換算したものです。(1967年の価格に換算)

トウモロコシと同様に、1920年前後の綿花価格の高騰は、実質価格で見ても、非常に大きなものだったことが分かります。
一方、1876年から1900年までの間は、ほぼ、0.4ドルから0.2ドルの範囲に収まっており、物価変動分を除くと、綿花価格はこの間、安定していたと言える事が出来ます。

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3.銅

以下のチャートは、ドルが初めて使用された1861年から1925年までの銅価格(1トン当たり)を、前回取得したCPIで実質価格に換算したものです。(1967年の価格に換算)

トウモロコシや綿花と比べると、価格変動が大きくなっています。

1864年に、100ドル超でピークを付けてから、1890年前後に、40ドル程度まで下がり、その後、1920年前後に、80ドルを超えて上昇し、さらに、その後、20ドルから30ドルまで急落しています。
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4.分析結果

1860年代から1920年代の商品価格の推移を実質価格で見ると、名目価格と同様に、1860年代から1890年代後半まで、価格の下落が続いています。

その後、1920年前後にかけて、商品価格の急騰と急落が観測されます。

5.データ保存先

今回、計算したデータは、SkyDriveに保存しておきました。
以下のリンクを開いて、RealCommodityPrice.xlsを選択してください。
公開

次回は、1860年から1920年にかけての米国経済の歴史を調べてみたいと思います。