商品循環 第26回 商品の売却タイミング

【直近の履歴】
第25回 商品循環と景気循環の比較
第24回 2008年の投資パフォーマンス分析
第23回 1980年の投資パフォーマンス分析

今回は、これまでの分析結果から、商品の適切な売却タイミングを決めてみようと思います。

1.商品循環のピークと景気の関係

過去の商品循環のピークの出現時期と、景気循環との関係をまとめると以下のとおりです。

1920年4月・・・景気後退局面。1920年1月の景気のピークから3ヶ月後。
(1947年3月・・・景気拡大局面。1945年10月の景気のボトムから1年6ヶ月後。)・・・注1
1951年2月・・・景気拡大局面。1949年10月の景気のボトムから1年5ヶ月後。
1980年7月・・・景気後退局面。1980年1月の景気のピークから6ヶ月後。
(2008年7月・・・景気後退局面。2007年12月の景気のピークから7ヶ月後。)・・・注2

注1.1947年3月は、同時期の1回目の商品価格のピークで、商品循環のピークではありません。
注2.2008年7月は、同時期の1回目の商品価格のピークで、商品循環のピークではありません。

上のように、商品循環や商品価格のピークは、景気のピークから3Q以内に現れる可能性が高いのですが、1950年代のように景気の拡大期に出現することもあります。

2.PPIの問題点

商品循環のピークは、PPIを監視することによって、検知できます。
しかし、PPIは、商品価格を別角度から見たものなので、検知のタイミングが遅れる可能性があります。

先行指標としては、イールドカーブの方が正確性において強力であると言えます。

3.株式と商品のパフォーマンス比較

1980年代以降の商品の強気相場における商品と株式のパフォーマンスを比較すると、以下のとおりです。

株式のショートポジション >> 株式のロングポジション > 商品のロングポジション

ロングポジションに限ると、株式と商品の優劣は、ファンダメンタルズに依存し、現在の商品の強気相場では、その差は小さいと考えられます。

4.混合戦略・・・商品の売却タイミング

以上の点を踏まえて、商品と株式の混合戦略を考えると、以下のようになります。

(1)イールドカーブとPPIの両方の指標を監視する。

(2)イールドカーブの監視により、景気後退を検知した場合は、株式と同時に商品も売却して、全て、株式のショートポジションに移行する。

    検知タイミング:90日移動平均での逆イールドの出現

    目的:正確な予測が難しい商品循環のピークでの売却よりも、確実性とパフォーマンスの高い、株式のショート戦略を優先する。

(3)PPIの監視により、景気拡大期に商品循環のピークを検知した場合は、そのタイミングで、商品を売却する。

     検知タイミング:PPIの前年同月比が15%を超えてピークアウトした時点

    目的:景気拡大期での商品循環のピークを見逃さない。

5.商品買戻しの時期

上のような混合戦略を採った場合、2008年のように、商品の強気相場の途中で、商品を売却することになり、その後の適切なタイミングで、買い戻す必要があります。

次回は、その買戻し時期について、検討することにします。