商品循環 第27回 商品の買戻しタイミング

【直近の履歴】
第26回 商品の売却タイミング
第25回 商品循環と景気循環の比較
第24回 2008年の投資パフォーマンス分析

1.前回のまとめ

前回までに、商品の強気相場において、イールドカーブとPPIの両方を監視することによって、商品の適切な売却タイミングを決められる事が分かりました。

今回は、過去のデータを使って、それに続く、商品の適切な買戻しタイミングを探してみようと思います。

2.1951年ピークの商品の強気相場

1951年をピークとする商品循環では、景気拡大期の1947年に一度目のピークを付けてから、一旦、調整に入っています。
前回のロジックに従うと、PPIのピークアウトで、1947年8月に、商品を一旦、売却することになります。

その後の商品の底値を、PPIIの前年同月比から探すと、1949年8月に最大のマイナスを付けており、ここが、目指すべき買戻しの時期だと考えられます。

1949-03-01    26.8    -1.47%
1949-04-01    26.5    -3.28%
1949-05-01    26.3    -4.36%
1949-06-01    26.0    -6.14%
1949-07-01    26.0    -7.14%
1949-08-01    26.0    -7.80% <= 最小値
1949-09-01    26.1    -7.12%
1949-10-01    26.0    -6.47%
1949-11-01    26.0    -6.47%
1949-12-01    25.9    -6.16%
1950-01-01    25.9    -5.13%
1950-02-01    26.1    -2.61%

ロイターの商品インデックスのチャートでも、1949年が底となっています。

イメージ 1
ここで、景気循環および株価の底との関係を調べると以下のとおりです。

景気の山・・・1948年11月
株価の底・・・1949年6月13日(ダウ指数CLOSE値:161.86)
商品価格の底・・・1949年8月
景気の底・・・1949年10月

従って、以下のような関係となります。
商品価格の底 = 株価の底 + 2ヶ月
商品価格の底 = 景気の底 - 2ヶ月

3.1980年ピークの商品の強気相場

1980年をピークとする商品循環では、1973年11月に景気のピークを付けているので、前回のロジックに従えば、この時点で商品を一旦、売却することになります。

以下のCRB指数のチャートを見ても、1973年から1974年にかけて、商品価格も1回目のピークを付けています。

また、1974年から1975年に商品価格の底を付けていると思われます。
イメージ 2
以下のWTIの価格を見ると、1974年9月に底を付けているので、ここが、目標の買戻しタイミングと考えられます。

年月    価格
1974/05/15    6.87
1974/06/15    6.85
1974/07/15    6.8
1974/08/15    6.71
1974/09/15    6.7 <= 最小値
1974/10/15    6.97
1974/11/15    6.97
1974/12/15    7.09
1975/01/15    7.61
1975/02/15    7.47
1975/03/15    7.57
1975/04/15    7.55
1975/05/15    7.52
1975/06/15    7.49
1975/07/15    7.75

ここで、景気循環および株価の底との関係を調べると以下のとおりです。

景気の山・・・1973年11月
商品価格の底・・・1974年9月
株価の底・・・1974年12月6日(ダウ指数CLOSE値:577.6)
景気の底・・・1975年3月

従って、以下のような関係となります。
商品価格の底 = 株価の底 + 3ヶ月
商品価格の底 = 景気の底 - 3ヶ月

4.現在の商品の強気相場

現在の商品の強気相場では、2007年12月に景気のピークを付けているので、前回のロジックに従えば、この時点で商品を一旦、売却することになります。

また、商品価格の底は、リーマンショック後の2009年3月に付けているので、ここが、目標の買戻し時期です。

イメージ 3

ここで、景気循環および株価の底との関係を調べると以下のとおりです。

景気の山・・・2007年12月
商品価格の底・・・2009年3月2日(CRB指数:200.339)
株価の底・・・2009年3月9日(ダウ指数CLOSE値:6440.08)
景気の底・・・2009年6月

従って、以下のような関係となります。
商品価格の底 = 株価の底
商品価格の底 = 景気の底 - 3ヶ月

5.商品の買戻しタイミング

上記の結果をまとめると、以下のようになります。

(1)商品の強気相場における、商品価格の底と、景気循環及び株価の底には、強い相関関係が見られた。
(2)商品価格の底は、株価の底から3ヶ月後以内に、到来した。
(3)商品価格の底は、景気循環の底から2ヶ月~3ヶ月前に、到来した。

従って、商品の買戻しタイミングは、以下のようになります。

(1)商品を一旦、売却した後は、イールドカーブを監視して、株価の買戻し時期を決定する。
(2)商品の強気相場が続いていた場合は、株価を買戻すのと、同タイミングで商品を買い戻す。
(3)商品の買戻し時期と、商品価格の底の誤差は、最大3ヶ月と予想される。

次回は、一旦、1920年以降の景気循環と株価の関係を整理してから、商品と株式の混合戦略を、再び考えようと思います。