商品循環 第107回(最終回) 全体のまとめ

【直近の履歴】

約2年間にわたって、連載を続けてきたこの商品循環のシリーズですが、今回を持って、一旦、終了とします。

今回は、これまでの分析の中で、私が特に重要だと思った点を挙げて、まとめの回としたいと思います。

1.商品の循環構造

商品価格は、約30年周期の構造を持っており、現在は、1980年以来、約30年ぶりのピークの位置にある。

2.長期金利の循環との関係

長期金利と商品の循環は、同期しており、長期金利が1周期(60年)する間に、商品は、2回の周期を上下する。
長期金利と商品のピークは、強い相関関係を持っており、商品のピークの約1年後に長期金利がピークを打つ。
一方、長期金利のボトムと商品のピークの相関関係は、弱く、商品がピークを打たない場合もある。

3.中央銀行の金融政策との関係

長期金利のピークにおける商品のピークは、債券から商品への資金シフトと考えられるため、中央銀行の金融政策との関連性は低い。

長期金利のボトムにおける商品価格のピークは、低金利を背景とした中央銀行の金融緩和政策によって過剰流動性が商品に向かって発生すると考えられる。
従って、中央銀行の金融政策や通貨体制に大きく左右される。

4.先行指標

PPIが、商品のピークの先行指標として、最も有効である。
PPIの前年同月比が、15%を超えてピークアウトすると、1年以内に商品価格がピークアウトする。

5.景気循環との関係

商品価格は、株式と同様に、基本的には、景気循環に沿って、拡大期に上昇、後退期に下落するが、株式ほどの強い関連性は無く、特に、商品価格のピークアウトは、景気後退期に大きくずれ込む場合がある。

6.投資戦略

最もパフォーマンスが良いと考えられる商品投資の戦略は以下のとおり。

・PPIとイールドカーブの両方を監視
・PPIで商品のピークアウトを検出した場合は、商品を売却
イールドカーブで景気後退を検出した場合は、商品と株式を売却して株式のショートポジションに乗り換える。
イールドカーブで景気回復を検出した場合は、商品と株式を購入。
・商品と株式の購入比率は、商品が強気相場入りしているかどうかで判断し、商品の比率を最大75%まで高める。

7.実質価格による株式と商品の比較

・100年間、買い持ちした場合の実質価格の比較では、株式のパフォーマンスが商品を2倍程度上回る。
・商品と株式のピークが15年周期で交互に現れる。商品のピークから株式のピークの間は、株式のパフォーマンスが商品の約6倍となり、株式のピークから商品のピークの間は、商品のパフォーマンスが株式の約4倍とな
る。 

8.個別商品の実質価格による分析

・エネルギーと農産物、金属の実質価格を110年間の長期で比較すると、最もパフォーマンスが高いのは、エネルギーであり、約3.5倍に上昇している。次に、パフォーマンスが高いのは、農産物で、約2倍となり、金属は、3割程度の上昇に留まっている。
・農産物は、各商品循環のピークで、同じ水準まで上昇している。従って、農産物指数は、商品循環のピークまでの到達度を知るための良い指標と言える。

今後は、第1回から今回までの内容を、一つのドキュメントファイルにまとめる作業を行い、ダウンロードが出来るように、SkyDriveにアップする予定です。

作業が完了したら、このブログでお知らせします。