検証システム 第46回 1979年~1980年の原油価格との類似性

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前回までに述べたように、1980年は、景気後退入り後も、株価が上昇を続け、次の1981年の景気後退で、下落に転じました。

同じような状況は、原油価格でも、生じていました。

上の最初のグラフは、米運輸省が発表している自動車走行マイル数の、1971年からの前年同月比の推移です。
拡大図は以下のリンクを開いて、グラフをクリックしてください。
DOT. Vehicle Miles Driven decline in January

この指標は、原油価格の先行指標として有効で、自動車走行マイル数が前年同月比でマイナス5%に接近すると、多くの場合、直後に原油価格がピークアウトします。

二番目のグラフは、1970年から2007年までのWTI価格(名目ではなく、物価変動分を除いた実質価格)の推移です。

実際に、2008年の原油高騰の際にも、この指標は、年央にマイナス5%に達して、その後の原油価格の下落を正確に示唆していました。

この指標の1979年から1980年の推移を振り返ってみると、原油価格の高騰を受けて、1979年の後半にマイナス5%を超えてマイナス10%近くまで、落ち込んでいます。

通常は、需要の減退で原油価格はピークアウトする筈ですが、逆に、1980年にかけて、原油価格は急騰しました。

自動車走行マイル数も一旦、前年同月比でプラスに回復しましたが、その後、1980年に入ると、再び、マイナス5%近くまで、下落し、今度は、原油価格も、ピークアウトして、長期的な下落トレンドに入って行きました。

つまり、1979年から1980年にかけては、株式と原油価格が同じように、先行指標(逆イールド、自動車走行マイル数)を無視した価格上昇と、その後の価格下落を起こしていたわけです。

今後についても、商品価格のピーク時に、同様の先行指標を無視した価格変動が動きがあることが予想され、その際には、CPIトレンドなどのインフレの指標を同時に見ることが、重要になって来ると思っています。

次回は、これまでの整理として、CPIトレンドを組み込んだ逆イールド投資ルールを再定義してみます。