超臨界水と鉄触媒によるオイルサンドの改質技術

今朝の日経に、北海道大学の増田隆夫教授の研究チームが、オイルサンドなどの超重質油をガソリンなどの普通の石油資源に変える新触媒を開発したというニュースが載っていました。

 この新触媒は、鉄とアルミニウム、ジルコニウムなどの酸化物を焼き固めたもので、いずれも安価な材料を利用しています。

 セ氏420度、220気圧の超臨界水と超重質油、上記の触媒を混ぜる事によって、触媒反応で超重質油がガソリンや軽油を含む軽質油に変化したとのことです。

 オイルサンドを軽質化させる従来法では、環境汚染につながるコークが大量に生成したり、高価な水素を加える必要があるために、利用が進みませんでした。

 今回、開発された手法では、水素を使わないためにコストが安く、コークの発生量も少なく、環境負荷が小さいので、実用化されれば、埋蔵量の豊富なオイルサンドの利用が進む可能性があります。

 天然ガスと同様に、石油資源に関しても、技術革新によって、在来型(軽質油)から非在来型(オイルサンド、オイルシェール)へパラダイムシフトが発生するかもしれません。

◆◆◆

 カナダの研究者も、同様の研究を行っていることが分かりました。
 超臨界流体を用いたオイルサンドからの石油(状物質)の抽出と改質

 各国でこの分野の研究が進んでいることが分かります。
 ただし、いずれの技術も基礎研究段階で、実用化までには、10年~20年の期間がかかる見込みです。