ピーク・フォスフォラス(リンのピーク) (1)

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Farmland Forest から、石油と同様に、リンのピークが迫っているという話題です。
非常に重要な話なので、複数回に分けて、紹介します。


リンは、肥料として世界の食糧供給に欠かせないものですが、その埋蔵量は減少し始めています。
リン不足の影響は計り知れないものがあります。

ピークオイルの可能性が最近、取りざたされていますが、リン鉱石のピークは、殆ど注目されていません。
しかし、利用可能なデータを分析する限り、リン鉱石の不足は、明らかに危険な水準に達しています。

リンは動植物に必須の栄養素で、その不足は、世界的な食糧安全保障の危機に直結します。
しかし、世界的な人口増加、食物の品質の向上、バイオエネルギーの需要拡大によって、年々、リンに対する需要は拡大しています。

世界中で商業的にリン鉱石が生産可能な国は、中国、米国、モロッコの三ヶ国のみです。
もし、現在の産出速度が続けば、米国の埋蔵量は、あと、30年でゼロとなります。
世界全体でも、あと、70年から100年でリン鉱石を掘り尽くすことになります。
しかも、リンを、他の代替物から合成することは出来ません。
人間や動物の排泄物中のリンを再利用することは、可能ですが、誰もそのリサイクルシステムを考えていません。

リンのピークアウトは、2030年頃と言われています。
商業的に産出可能な埋蔵量は、150億トンと見積もられています。
毎年の産出量は、1億6700万トンです。
米国の地理研究所の計算に基づくと、現在のリン生産量の増加率である2%が続けば、リン鉱石の生産はあと50年続けられます。
もし、増加率が3%に上昇すると、5年短くなって、あと45年の生産となります。

しかしながら、2008年のリン鉱石の生産量の増加率は、過去最高の7%に達しました。
主な理由は、中国の10%の増産で、米国とモロッコも2007年から4%の増産でした。

もし、増加率を3%に抑えた上で、非商業的な埋蔵リン鉱石を産出した場合は、75年間の生産を続けることが出来ますが、このような低い品質のリンを生産するためには、莫大なコストがかかるために、肥料価格は急騰し、食糧価格も高騰します。

・・・続く