検証システム 第12回 株価は景気の先行指標となりうるか

今回は、前2回の景気と株価の関係性を再度、分析してまとめてみます。


初めに、前の2回の結果を比較すると、株価のピークとボトムが前後して、整合性が取れない箇所が3箇所あったので、ピークを抽出するクエリの比較範囲を狭めて修正して、再度、抽出しました。

【株価のピーク】
景気の山→株価のピーク(月数の差,S&P500指数)として表示すると、以下のようになります。
※印が前回から訂正した箇所です。

1953年7月→1953年1月(-6,26.66)※
1957年8月→1956年8月(-12,49.64)
1960年4月→1959年8月(-8,60.71)※
1969年12月→1968年11月(-13,108.37)
1973年11月→1973年1月(-10,120.24)
1980年1月→1979年10月(-3,111.27)
1981年7月→1980年11月(-8,140.52)
1990年7月→1990年7月(0,368.95)※
2001年3月→2000年3月(-12,1527.46)
2007年12月→2007年10月(-2,1565.15)

平均月数差:-7.4

【株価のボトム】
景気の谷→株価のボトム(月数の差,S&P500指数)として表示すると、以下のようになります。

1954年5月→1953年9月(-8,22.71)
1958年4月→1957年10月(-6,38.98)
1961年2月→1960年10月(-4,52.2)
1970年11月→1970年5月(-5,69.29)
1975年3月→1974年10月(-5,62.28)
1980年7月→1980年3月(-4,98.22)
1982年11月→1982年8月(-3,102.42)
1991年3月→1990年10月(-4,295.46)
2001年11月→2001年10月(-1,776.76)

平均月数差:-4.4

【分析結果】
1.株価は、景気の山から平均で、7.4ヶ月先行して、ピークを付ける。
2.株価は、景気の谷から平均で、4.4ヶ月先行して、ボトムを打つ。
3.両者を比較すると、株価のピークの方が分散が大きい。

従って、もし、株価のピークを、半年以内に認識すれば、景気の山を7.4ヶ月後として、予測できる。
ただし、分散が大きい(0ヶ月~13ヶ月前)ので、的中する確率は、景気の底に比べて低い。

一方、もし、株価のボトムを認識すれば、景気の谷を4.4ヶ月後として、予測できる。また、分散が小さい(1ヶ月~8ヶ月前)ので、景気の底を的中する確率は、景気の山に比べて高い。
しかし、景気の底と株価のボトムとの平均月数差が小さいので、認識が遅れたり、誤ってボトムを認識してしまう可能性が高い。

結論としては、株価を景気の先行指標として、利用することは、実務上、難しいといえます。

【今後の予定】

イールドカーブなどの他の先行指標から、景気の山や谷を推測し、さらに、そこから、株価のピークやボトムを予測することの有効性は、今後、検討していきたいと思います。