商品循環 第37回 商品の強気相場における株式と商品のパフォーマンス比較(2)

【直近の履歴】
第36回 商品の強気相場における株式と商品のパフォーマンス比較(1)
第35回 景気循環とインフレおよび投資パフォーマンスの関係
第34回 商品循環とCPIの関係を一般化する

4.比較

2.の景気循環に期間を考慮した事例と、3.のイールドカーブ適用事例を比較すると以下の点に気がつきます。

・ 1973年11月の景気のピークから、1975年3月の景気のボトムの間に、ダウ平均では、4.93%しか下落していないが、イールドカーブを使った場合は、1973年7月27日から1974年9月27日の間に、ショートポジションで、48.93%(レバレッジ2倍とすると、約24%)の利益を上げており、この期間が大きなパフォーマンス差になっている。

・これは、イールドカーブが、景気よりも、株価のピークとボトムを正確に予測する適性のためだと考えられる。

・また、イールドカーブを使った場合は、1980年1月から1980年7月の景気後退期を、CPIが8%以上という条件を判定して、ショートポジションを建てることを避けており、これが、パフォーマンスを上げる結果に繋がっている。

5.まとめ

イールドカーブを使った株式投資手法では、景気循環のピーク/ボトムと数ヶ月時間差のある株価のピーク/ボトムを正確に予測するため、商品循環の強気相場においても、良いパフォーマンスを得られる。

・ただし、商品循環の強気相場の中で、ショートポジションは、高いパフォーマンスを得られるが、ロングポジションは、商品循環の弱気相場と比べると、株式投資のパフォーマンスは、相対的に低い。

・従って、商品循環の強気相場の中で、景気の拡大期においては、株式と商品をバランスを取って、ロングする方が、良いパフォーマンスを得られる。

・しかし、1950年代以前のように金利が固定化されて、イールドカーブを適用することが不可能な場合は、商品の強気相場では、商品のみをロングし続けた方が、良いパフォーマンスを得られ易いと考えられる。

次回は、1920年代に遡って、CPIの変化から、商品循環とコンドラチェフ循環の関係を考察しようと思います。