商品循環 第25回 商品循環と景気循環の比較

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第23回 1980年の投資パフォーマンス分析
第22回 1980年の商品投資シミュレーション

1.前回のまとめ

前回までに、商品の強気相場であっても、商品に単独で投資するよりも、株式投資と組み合わせた方がパフォーマンスが良さそうだ、との推論を立てました。
今回は、さらに深く分析するために、1920年代以降の米国の景気循環と商品循環の関係を一旦、整理してみます。

2.景気循環

NBERによる公式判定では、米国の1920年代以降の景気循環は、以下のとおりです。

ピーク    ボトム
1920年1月    1921年7月
1923年5月    1924年7月
1926年10月    1927年11月
1929年8月    1933年3月
1937年5月    1938年6月
1945年2月    1945年10月
1948年11月    1949年10月
1953年7月    1954年5月
1957年8月    1958年4月
1960年4月    1961年2月
1969年12月    1970年11月
1973年11月    1975年3月
1980年1月    1980年7月
1981年7月    1982年11月
1990年7月    1991年3月
2001年3月    2001年11月
2007年12月    2009年6月

3.商品循環

当ブログで調べた商品循環は、以下のとおりです。

ピーク ボトム
1920年4月 1946年6月
1951年2月 1973年4月
1980年7月 1999年10月

4.時系列に並び替える

上記の景気循環と商品循環を時系列的に並べると以下のとおりです。
△:ピーク ▼:ボトム

景気    △    1920年1月
商品    △   1920年4月
景気    ▼    1921年7月
景気    △    1923年5月
景気    ▼    1924年7月
景気    △    1926年10月
景気    ▼    1927年11月
景気    △    1929年8月
景気    ▼    1933年3月
景気    △    1937年5月
景気    ▼    1938年6月
景気    △    1945年2月
景気    ▼    1945年10月
商品    ▼    1946年6月
景気    △    1948年11月
景気    ▼    1949年10月
商品    △    1951年2月
景気    △    1953年7月
景気    ▼    1954年5月
景気    △    1957年8月
景気    ▼    1958年4月
景気    △    1960年4月
景気    ▼    1961年2月
景気    △    1969年12月
景気    ▼    1970年11月
商品    ▼    1973年4月
景気    △    1973年11月
景気    ▼    1975年3月
景気    △    1980年1月
商品    △    1980年7月
景気    ▼    1980年7月
景気    △    1981年7月
景気    ▼    1982年11月
景気    △    1990年7月
景気    ▼    1991年3月
商品    ▼    1999年10月
景気    △    2001年3月
景気    ▼    2001年11月
景気    △    2007年12月
                 2008年7月・・・商品価格の前回ピーク
景気    ▼    2009年6月

5.商品循環と景気循環のサイクル比

上記のデータから、商品循環の1サイクルの間に、景気循環が何サイクルするかをカウントしてみます。

商品循環のピーク間における景気循環のピークの出現回数。

1920年4月~1951年2月・・・6回
1951年2月~1980年7月・・・6回

商品循環のピーク間における景気循環のボトムの出現回数。

1920年4月~1951年2月・・・7回
1951年2月~1980年7月・・・5回

商品循環のボトム間における景気循環のピークの出現回数。

1946年6月~1973年4月・・・5回
1973年4月~1999年10月・・・4回

商品循環のボトム間における景気循環のボトムの出現回数。

1946年6月~1973年4月・・・5回
1973年4月~1999年10月・・・4回

これらの結果から、商品循環の1サイクルの間に、景気循環は、4~7サイクルするということが言えそうです。

これらの結果から、今後の商品と景気の循環を予測すると以下のとおりです。

1980年7月の商品循環ピーク~現在
景気循環の回数(過去)】
ピーク・・・4回
ボトム・・・5回

現在~次の商品循環ピーク
景気循環の回数(未来)】
ピーク・・・2回
ボトム・・・0~2回

1999年10月の商品循環ボトム~現在
景気循環の回数(過去)】
ピーク・・・2回
ボトム・・・2回

現在~次の商品循環ボトム
景気循環の回数(未来)】
ピーク・・・2~3回
ボトム・・・2~3回

このように、次の商品循環のピークまでに、あと、1~2サイクルの景気循環が発生し、次の商品循環のボトムまでに、あと、2~3サイクルの景気循環が発生することが、予測されます。

6.商品循環のピークの出現時期

今度は、商品循環のピークまたはボトムが、景気循環のどのような局面(拡大期または後退期)で出現するかを考えてみます。

まず、商品循環のピークの出現について調べると以下のとおりです。

1920年4月・・・景気後退局面。1920年1月の景気のピークから3ヶ月後。
1951年2月・・・景気拡大局面。1949年10月の景気のボトムから1年5ヶ月後。
1980年7月・・・景気後退局面。1980年1月の景気のピークから6ヶ月後。
(2008年7月・・・景気後退局面。2007年12月の景気のピークから7ヶ月後。)

景気後退局面で商品循環のピークを付ける場合が多かったのですが、1945年のように、景気拡大局面で、ピークを付けたこともあり、両者の相関関係はあまり強くないように思えます。

7.商品循環のボトムの出現時期

次に、商品循環のボトムの出現について調べると以下のとおりです。

1946年6月・・・景気拡大局面。1945年10月の景気のボトムから8ヶ月後。
1973年4月・・・景気拡大局面。1970年11月の景気のボトムから2年5ヶ月後。
1999年10月・・・景気拡大局面。1991年3月の景気のボトムから8年7ヶ月後。

過去3回の全てにおいて、景気拡大局面で商品循環のボトムを付けましたが、ボトムからの期間は、8ヶ月後から8年7ヶ月後までと、間隔のバラツキが大きく、やはり、両者の相関関係はあまり強くないように思えます。

次回は、これらの分析結果を踏まえて、商品投資と株式投資の混合戦略を再度、まとめてみようと思います。