深刻化する中国の農業用地下水 (サーチナ)

中国の農業における水不足の問題について、サーチナに興味深いレポートが掲載されていました。


・今年の春先から、中国では華北や東北部を中心に干ばつの傾向があった。

・現地の農民は、今年の夏は暑く異常気象だと言っている。

・中国の華北や東北部では数年前から干ばつと水不足、その結果としての地下水位の低下が指摘されてきた。

・農民の話しを聞くと、以前は20-30メートルだった地下水位が最近は50-60メートルに下がったので、行政からの指導で地下水の汲み上げを抑えるようにしているという。

・ここ(遼寧省朝陽市)はトウモロコシを主産作目とする、中国でも有数の穀倉地帯である。市全体の耕地面積は約40万ヘクタールだが、いま、その90%に当たる36万ヘクタールが干ばつの被害を受け、19万ヘクタールは全滅という悲惨な状況を呈している。

・それ(農民や末端の行政機関の場当たり的な対策)は、大棚と中国語で呼ぶ大型ビニールハウスによる野菜や果物栽培の促進策のことだ。

・しかし、そこで栽培される品目もやがては供給過剰になることは目に見えている。

・(双陽水庫という農業用のため池)建設の目的は主に水田向けの灌漑用水で、一部工業用水としても使っている。

・その水を送るために、地平線まで広がるトウモロコシ畑にきめ細かく灌漑パイプを敷くとなると、想像しただけでも気が遠くなりそうな資金と時間がかかる。

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以前からレスター・ブラウンが指摘していた通りに、中国の農業用水の不足が、年々、深刻化しているのが、このレポートから分かります。
今後、地下の帯水層の水が枯渇した場合、中国がトウモロコシなどの穀物の輸入量を拡大することが予想されます。
その時には、穀物の国際価格に大きな変化が生まれると思われます。