商品循環 第87回 銀の実質価格の長期的推移

【直近の履歴】

前回は、金の実質価格の推移を分析しました。

今回は、もう一つの貴金属である銀の実質価格の長期的推移を分析します。

1.銀の名目価格の推移

 USGSの以下のサイトから、1900年から1998年までの約100年の銀の名目価格(1トロイオンス当たりのドル価格)が得られます。・・・ニューヨークの純度99.9%の銀


また、以下のサイトでは、1970年から2010年までのロンドンLMEの金と銀価格を、ドル換算した価格が得られます。

Historic Gold Silver price ratio from 1970

 上記データから、 1900年から1969年までは、USGSのニューヨーク銀価格、1970年から2010年までは、ロンドンLMEの銀価格を使って、銀の名目価格の推移をプロットすると、以下のとおりです。 

イメージ 1

上記のように、銀も、1971年に金とドルとの交換が停止されるまで、大半の期間で通貨の金本位制を維持するために、事実上、価格が固定化されていたと考えられます。

2.銀の実質価格の推移

  次に、いつものサイトのCPIを使って、銀の実質価格を計算してみます。

Historical Value of U.S. Dollars

ただし、データの範囲は、金とドルの交換が停止された、1971年以降とします。

グラフ化すると、以下のとおりです。

イメージ 2

実質価格でみると、現在の価格は、1980年当時の約半分です。

 【銀実質価格のブレイクポイント】

1971年・・・1.26ドル
1974年・・・3.18ドルでブレイクするとともにこの時期のピークを付ける
1980年・・・8.60ドルでブレイクするとともにこの時期のピークを付ける 
2010年・・・4.40ドル 

3.銀価格と商品循環の関係

  上のデータから、それぞれの商品循環のピークで、銀価格が過去最高値を更新したかどうかを、調べると以下の通りです。

商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)

【名目価格】
1977年~1983年・・・〇 
 2008年~現在・・・〇 

【実質価格】
 1977年~1983年・・・〇 
 2008年~現在・・・×

【結論】
銀は、同じ貴金属である金と、ほぼ、一致した動きを見せています。

4.データ保存先 

今回、作成したのデータは、SkyDriveに保存しておきました。 
ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、 silver_prices.xls を参照してください。

今回の分析で、銀の長期的な価格データが得られたので、次回は、実質価格の分析を一回お休みして、金と銀の長期的な価格の比較を行ってみたいと思います。