商品循環 第86回 金の実質価格の長期的推移

【直近の履歴】

前回は、ソフトコモディテイ価格(実質)指数と穀物価格(実質)指数を合成して、農産物価格指数(実質)を作りました。

今回からは、金を始めとする金属の実質価格の推移を分析してみることにします。

1.金の名目価格の推移

1833年からの金の名目価格(1トロイオンス当たりの平均価格)は、以下のサイトから得られます。

HISTORICAL GOLD PRICES- 1833 to Present

上記データを使って、 1833年から2011年の約180年間にわたる金価格(名目)の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。 

イメージ 1

金は、1971年にドルとの交換が停止されるまで、大半の期間で通貨の金本位制を維持するために、価格が固定化されていました。

2.金の実質価格の推移

 次に、いつものサイトのCPIを使って、金の実質価格を計算してみます。

Historical Value of U.S. Dollars

ただし、データの範囲は、金とドルの交換が停止され、金価格が普通の商品と同様に市場で決められるようになった、1971年以降とします。

グラフ化すると、以下のとおりです。

イメージ 2

実質価格でみると、現在の価格は、1980年当時を、まだ、超えていません。

 【金実質価格のブレイクポイント】

1971年・・・33.31ドル
1974年・・・104.72ドルでブレイクするとともにこの時期のピークを付ける
1980年・・・252.15ドルでブレイクするとともにこの時期のピークを付ける 
2010年・・・183.63ドル 

3.金価格と商品循環の関係

 上のデータから、それぞれの商品循環のピークで、金価格が過去最高値を更新したかどうかを、調べると以下の通りです。

商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)

【名目価格】
1977年~1983年・・・〇 
 2008年~現在・・・〇 

【実質価格】
 1977年~1983年・・・〇 
 2008年~現在・・・×

【結論】
金は、コモディティとしての歴史は、比較的に浅いので、傾向は明確に掴めませんが、実質価格の過去最高値を更新していないことから、現在の価格に対する割高感は、あまり、感じられません。

4.データ保存先 

今回、作成したのデータは、SkyDriveに保存しておきました。 
ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、 gold_prices.xls を参照してください。

次回は、銀またはプラチナの実質価格の推移を分析してみたいと思っています。