第72回 天然ガスの実質価格の長期的推移
第71回 原油の実質価格の長期的推移
第70回 商品循環の周期を再計算する
前回は、1922年から2010年の約90年間にわたる天然ガスの実質価格を計算して、その長期的推移を分析しました。
今回は、石炭価格の長期的推移を調べます。
1.石炭の名目価格の推移
EIAの以下のサイトでは、1947年から2010年までの約60年間にわたる石炭の名目価格と実質価格を種類別に表示しています。
Coal Prices, 1949-2010
このデータを使って、石炭の名目価格の長期的推移をグラフ化すると、以下のようになります。
上のように、石炭の名目価格は、1982年にピークを打って、その後、下落トレンドに入り、2004年から上昇トレンドに入っています。
EIAのサイトでも、石炭の実質価格を表示していますが、このブログでの他の商品価格と合わせるために、以下のサイトのCPIを使って、実質価格を再計算してみます。
Historical Value of U.S. Dollars
このデータを使って、石炭の実質価格の長期的推移をグラフ化すると、以下のようになります。
上のように、実質価格で見ると、現在の石炭価格は、上昇トレンドには入っていますが、1970年代後半のピークからは、かなり、下回っていることが分かります。
注)
2)データの範囲は、1949年から2010年です。
3.石炭の実質価格のブレイクポイント
次に、石炭の実質価格を過去から現在まで調べて、過去最高値を更新した時点(ブレイクポイント)とピークの位置を決める事にします。
1949年・・・7.34ドル
・・・
1974年・・・10.76ドルでブレイク
1975年・・・12.00ドルでピークアウト
4.石炭価格と商品循環の関係
上のデータから、それぞれの商品循環のピークで、天然ガス価格が過去最高値を更新したかどうかを、調べると以下の通りです。
商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)
【名目価格】
1975年~1983年・・・〇
2004年~現在・・・〇
【実質価格】
1975年~1983年・・・〇
2004年~現在・・・×
【結論】
・石炭が、商品循環のピークにおいて、過去最高値を更新する確率は、名目価格ベースで100%、実質価格ベースで50%である。
5.データ保存先
今回、作成した石炭価格(名目と実質)のデータは、SkyDriveに保存しておきました。
ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、 coal_prices.xls を参照してください。
次回は、ウランの価格について、今回と同様の分析を行ってみたいと思います。