第77回 大豆の実質価格の長期的推移
第76回 トウモロコシの実質価格の長期的推移
第75回 エネルギー価格指数(実質)の作成と分析
前回は、大豆の98年間にわたる実質価格の推移を求めて、分析しました。
今回は、小麦の長期的な実質価格の推移を求めて、分析してみます。
1.小麦の名目価格の推移
USDAの以下のサイトから、1908年から2011年までの小麦価格(名目)を取得出来ます。
USDA QuickStats で Crops を選択→Wheat Allを選択→United Statesを選択
このデータを使って、1908年から2011年の103年間にわたる小麦価格(名目)の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。
1908年・・・0.97ドル
1909年・・・0.99ドル
1916年・・・1.43ドルでブレイク
1919年・・・2.16ドルでこの時期のピークを付ける
1947年・・・2.29ドルでブレイクするとともに、この時期のピークを付ける
1973年・・・3.95ドルでブレイク
1980年・・・3.99ドルでこの時期のピークを付ける
1995年・・・4.55ドルでブレイク
2007年・・・6.48ドルでブレイク
2011年・・・7.30ドルでこの時期のピークを付ける
上のように、過去の4回の商品循環のピークの全てにおいて、小麦の名目価格が、過去最高値を更新しています。
2.小麦の実質価格の推移
次に、いつものサイトのCPIを使って、大豆の実質価格を計算してみます。
Historical Value of U.S. Dollars
1)1967年を1ドルとして計算されています。
2)データの範囲は、1908年から2010年です。
上のように、現在の小麦の実質価格は、1920年当時の5分の1以下です。
もし、今後、1947年あるいは1980年の水準まで、実質価格が上昇すると、現在の価格の約3倍となります。
【小麦実質価格のブレイクポイント】
1908年・・・3.58ドル
1909年・・・3.65ドル
1916年・・・4.38ドルでブレイク
1917年・・・5.30ドルでこの時期のピークを付ける
2010年・・・0.86ドル
3.小麦実質価格と商品循環の関係
上のデータから、それぞれの商品循環のピークで、小麦価格が過去最高値を更新したかどうかを、調べると以下の通りです。
商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)
【名目価格】
1917年~1920年・・・〇
1947年~1950年・・・〇
1980年~1983年・・・〇
2008年~現在・・・〇
【実質価格】
1917年~1920年・・・〇
1947年~1950年・・・×
1980年~1983年・・・×
2008年~現在・・・×
【結論】
小麦が、商品循環のピークにおいて、過去最高値を更新する確率は、名目価格ベースで100%、実質価格ベースで25%である。
4.データ保存先
今回、作成した小麦価格(名目と実質)のデータは、SkyDriveに保存しておきました。
ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、wheat_all_prices.xlsを参照してください。
次回は、コメの価格について、今回と同様の分析を行ってみたいと思います。