今回から、長期金利と商品循環との関係を調べることにします。
1.長期金利のデータの取得先について
先ず、米国の長期金利、すなわち、10年物の米国債の利回りをどこから取得するかを、決めます。
米国の金利データの取得先としては、FRBの以下のサイトが、最も、一般的です。
FRB Selected Interest Rates (Daily) - H.15 Historical Data
しかし、このサイトの10年物米国債の利回りの最も古い月次データは、1953年4月ですので、商品循環のサイクルとしては、1980年をピークとする1循環しか得られません。
一方、以下のサイトでは、1880年代からの米国の金利や株価のデータを見ることが出来ます。
www.multpl.com
10年物米国債の利回りについても、1881年1月から直近までの月次データを保存しており、歴史的な分析を行う上で、有効な情報を得られます。
10 Year Treasury Rate
以下のグラフは、このサイトから取得した10年物米国債の1881年1月から現在(2011年9月)までの推移です。
現在の長期金利が歴史的な低水準であることが分かります。
このサイトの注釈を見てみると、米財務省とケース・シラー指数で有名なイェール大学のロバート・シラー教授のデータが源泉となっているようです。
2.データ保存方法
http://www.multpl.com/のサイトのデータは、ダウンロード機能が用意されていないので、以下の手順で自分で変換する必要があります。
(1)ドラッグ&コピー
少し時間がかかりますが、10 Year Treasury Rateの画面を開いて、年月と金利の部分を、手作業でドラッグしてコピーします。
(2)テキストファイルへ保存
コピーした内容を、テキストファイルに貼り付けて、保存します。
(3)Excel変換時の問題点と対応方法
次の段階として、上記のテキストファイルをExcelに変換するわけですが、一つ大きな問題があります。
この長期金利のデータは、最も古い日付が、1881年となっていますが、Excelで対応できる日付は、1900年以降であるため、1900年以前のデータは、日付の部分が単なる文字列として、変換されます。
文字列では、他のPPIやCPIなどの日付とリンクすることが出来ないため、分析が難しくなります。
対応方法として、以下の二種類の長期金利のデータを保存することにします。
・全データファイル・・・日付を文字列として、全データを保存する。
・一部データファイル・・・分析用として、1900年以降の長期金利のデータを保存する。
(4)Excel変換
上記で述べたように、Excelにテキストファイルをインポートして、全データと1900年以降の分析用一部データの二つのファイルを保存します。
(5)Accessへのインポート
1990年以降の分析用一部データ(Excel形式)を、Accessのテーブルとして、インポートします。
(6)PPIとのリンク
新しくクエリを作成して、Accessにインポートした1900年以降の長期金利データと、PPIのテーブルを日付でリンクします。
(7)クエリのExcel形式での出力
上記のクエリを開いて、Excel形式でエクスポートします。(長期金利/PPI分析用データ)
(8)PPIの前年同月比の計算
エクスポートしたExcelファイルを開いて、PPIの前年同月比を計算する式を追記し、全レコードに貼り付けます。
3.長期金利/PPI分析用データの内容
参考のために、上記で作成した長期金利/PPI分析用のExcelデータから、1980年~1982年の部分を抽出してみました。
年月→長期金利→PPI→PPI前年同月比
1980/1/1 10.80 85.20 15.45%
1980/2/1 12.41 86.90 16.02%
1980/3/1 12.75 87.50 15.44% <=PPIのピーク
1980/4/1 11.47 87.80 14.17%
1980/5/1 10.18 88.30 13.94%
1980/6/1 9.78 88.70 13.72%
1980/7/1 10.25 90.30 14.02%
1980/8/1 11.10 91.50 14.95%
1980/9/1 11.51 91.70 13.35%
1980/10/1 11.75 92.80 13.03%
1980/11/1 12.68 93.20 12.83%
1980/12/1 12.84 93.80 12.47%
1981/1/1 12.57 95.20 11.74%
1981/2/1 13.19 96.10 10.59%
1981/3/1 13.12 97.00 10.86%
1981/4/1 13.68 98.00 11.62%
1981/5/1 14.10 98.30 11.33%
1981/6/1 13.47 98.50 11.05%
1981/7/1 14.28 99.00 9.63%
1981/8/1 14.94 99.00 8.20%
1981/9/1 15.32 98.80 7.74% <=長期金利のピーク
1981/10/1 15.15 98.90 6.57%
1981/11/1 13.39 98.80 6.01%
1981/12/1 13.72 98.80 5.33%
1982/1/1 14.59 99.70 4.73%
1982/2/1 14.43 99.80 3.85%
1982/3/1 13.86 99.60 2.68%
1982/4/1 13.87 99.60 1.63%
1982/5/1 13.62 99.80 1.53%
1982/6/1 14.30 100.00 1.52%
1982/7/1 13.95 100.40 1.41%
1982/8/1 13.06 100.30 1.31%
1982/9/1 12.34 100.00 1.21%
1982/10/1 10.91 100.20 1.31%
1982/11/1 10.55 100.30 1.52%
1982/12/1 10.54 100.50 1.72%
4.ネットの保存先
今回作成したデータは、SkyDriveにアップしておきました。
(1)長期金利/PPI分析用データ
10YearT_PPI
(2)長期金利(全データ)
注)このデータは、直接、Webで開くとエラーになるため、一旦、SkyDriveからダウンロードして、使用してください。
公開フォルダ ← ここから、10YearTreasuryという名前のファイルをダウンロード。
なお、このデータの並びは、日付の降順(新しいもの順)です。
次回は、今回、作成した長期金利とPPIの分析データを使って、商品循環との関係を分析してみます。