商品循環 第43回 ディスカウントレートと商品循環を対比する

今回は、前回作成した1914年11月から2003年8月までの、ディスカウントレート(公定歩合)のデータを使って、商品循環との対比データを作ります。

1.PPIとディスカウントレートのリンク

まず、Accessのテーブルで、新規のクエリを作成して、PPIACOとディスカウントレートのテーブルを日付でリンクします。

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このクエリをExcel形式でエクスポートすると、以下のように、日付、PPI、ディスカウントレートを一行で参照できるデータが得られます。
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2.Excelの編集
 
商品循環を把握するために、上のExcelの4列目に、PPIの前年同月比を求める計算式を入力して、全データに貼り付けます。
 
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これで、データは完成です。
このデータを参照することで、1915年11月から2003年8月までの、短期金利(ディスカウントレート)と商品価格(PPI)の動きを比較して見ることが可能となります。
 
今回作成したExcelファイルは、SkyDriveにアップロードしてあります。
 
3.商品循環のピークにおけるディスカウントレート
 
先ず、上のデータを使って、商品循環のピークにおけるディスカウントレートを調べてみます。
 
(1)1920年のピーク
 
日付→PPI→ディスカウントレート→PPI前年同月比
1919/12/1 26 4.75  10.64%
1920/1/1 27.2 6.00  17.24%
1920/2/1 27.1 6.00  20.98%
1920/3/1 27.3 6.00  20.80%
1920/4/1 28.5 6.00  24.45% ← 商品循環のピーク
1920/5/1 28.8 6.00  23.61%
1920/6/1 28.7 6.00  22.65%
上のように、商品循環のピークにおいて、ディスカウントレートも6%で、当時のピークを付けています。
インフレを抑えこむために、政策金利の引き上げが、行われていたことが分かります。
 
(2)1947年のピーク
 
日付→PPI→ディスカウントレート→PPI前年同月比
1947/1/1 24.5 1.00  33.15%
1947/2/1 24.7 1.00  33.51%
1947/3/1 25.3 1.00  34.57% ← 商品循環のピーク
1947/4/1 25.1 1.00  32.11%
1947/5/1 25 1.00  30.89%
1947/6/1 25 1.00  28.87%
上のように、この時期は、商品循環のピークにおいても、ディスカウントレートは1%で据え置かれて、ピークを付けていませんでした。
政策当局がインフレを抑えこむ意志を見せていないか、もしくは、広範なインフレが観測されていなかったことを、想像させます。
 
(3)1980年のピーク
 
日付→PPI→ディスカウントレート→PPI前年同月比
1979/9/1 80.9 11.00  13.94%
1979/10/1 82.1 12.00  14.35%
1979/11/1 82.6 12.00  14.56%
1979/12/1 83.4 12.00  14.72%
1980/1/1 85.2 12.00  15.45%
1980/2/1 86.9 13.00  16.02% ← 商品循環のピーク
1980/3/1 87.5 13.00  15.44%
・・・
1981/4/1 98 13.00  11.62%
1981/5/1 98.3 14.00  11.33% ← ディスカウントレートのピーク
1981/6/1 98.5 14.00  11.05%
上のように、この時期は、商品循環のピークとほぼ同時期(15ヶ月後)に、ディスカウントレートが14%でピークを付けています。
インフレを抑えこむために、大幅な政策金利の引き上げが、行われており、1920年と似ていることが分かります。
 
次回は、このような、政策金利(ディスカウントレート)から見た、商品循環の特徴をさらに分析してみようと思います。