商品循環 第68回 1920年の商品循環のピークを再検証する

【直近の履歴】
第67回 長期金利の底における商品循環のピークのまとめ
第66回 150年間の金価格と通貨体制の推移
第65回 金本位制の問題点と商品循環の関係

前回までの複数回に渡って、60年周期の長期金利の底で出現する、商品循環のピークについて、分析してきました。
今回からは、長期金利のピークで出現する、商品循環のピークについて、再度、詳細に分析していくことにします。

1.1920年前後のPPIの推移

以下のグラフは、1914年から1925年のPPI(全コモディティ)の前年同月比の推移です。
PPIACO

イメージ 1

1回目のピーク 1917年7月・・・47.22%
2回目のピーク 1920年4月・・・24.45%

これまで、1917年の最初のピークは、商品が弱気相場から強気相場に入り、急に価格が上昇し始めたときの、前方テールの位置を表し、1920年の二回目のピークが、真の商品循環のピークであると、考えてきました。

ところが、この時期の個別商品の価格を、調べていくうちに、1918年前後が、商品循環のピークである可能性が出てきました。

2.トウモロコシ

以下は、1900年から1925年のトウモロコシの名目価格の推移とピーク時のデータです。

イメージ 2

Year Dollar
1915    0.651
1916    1.13
1917    1.39
1918    1.45 <= Peak
1919    1.44
1920    0.54

1917年から1919年にかけて、ピークを付けた後に、1920年に価格が急落しています。

3.綿花

以下は、1900年から1925年の綿花の名目価格の推移とピーク時のデータです。

イメージ 3

Year Price
1916    0.174
1917    0.271
1918    0.289
1919    0.353 <= Peak
1920    0.159

1919年に、ピークを付けた後に、やはり、1920年に価格が急落しています。

4.銅

以下は、1900年から1925年の銅の生産者価格の推移とピーク時のデータです。

イメージ 4

Year Price
1914    13.31
1915    17.47
1916    28.46
1917    29.19 <= Peak
1918    24.68
1919    18.19
1920    17.5

1916年から1917年に、ピークを付けた後に、1919年に価格が急落しています。

5.分析

上記のように、個別の商品価格の推移を見ると、いずれも、1920年には既に価格が急落しており、商品価格のピークは、1920年より以前の1917年~1919年に付けていたことが分かります。

従って、PPIの1回目のピークである1917年7月を、この時期の商品循環のピークとして、再定義する事にします。

この結果、次の商品循環のピークである1947年との間は、ちょうど、30年の間隔となります。

6.長期金利との関係

この時期の長期金利は、1920年に、5.27%でピークアウトしています。
従って、商品循環は、長期金利に約3年間の先行して、ピークを付けていたことになります。


次回は、1920年から、さらに、60年前の1860年前後における商品循環のピークについて、分析してみようと思います。