商品循環 第39回 CPIのインフレと株式投資収益率、周期性、債券循環

【直近の履歴】
第38回 CPIのインフレと長期金利の循環との関係
第37回 商品の強気相場における株式と商品のパフォーマンス比較(2)
第36回 商品の強気相場における株式と商品のパフォーマンス比較(1)
第35回 景気循環とインフレおよび投資パフォーマンスの関係

1.前回のまとめ

前回の分析の結果、以下の点が分かりました。

・CPIのインフレは、30年毎に、商品循環のピークと同タイミングで出現する。
・CPIのインフレは、60年周期で、5年から10年以上の長期間のインフレ、あるいは、その反対の3年以内の短期的なインフレを繰り返す。
・長期間のインフレは、債券循環(コンドラチェフ循環)によるものと考えられる。

今回は、これまで複数回に渡って、調べてきたCPIのインフレと株式投資の収益率、周期性、債券循環(コンドラチェフ循環)との関係についてまとめてみようと思います。

2.CPIのインフレと株式投資の収益率

【前提条件】
景気循環の1期間(山→谷、谷→山)で、CPI(総合指数・季節調整前)の前年比の平均値を求める。以下、CPIとする。

【分析結果】
・CPIが7%以上のインフレの期間では、景気循環に則した株式投資を行った場合、収益率は、CPIが7%未満の低インフレの期間と比べて、相対的に低くなる。

注)景気循環に則した株式投資とは、景気拡大期に株式をロング、景気後退期に株式をショートする方法。

・ただし、イールドカーブを適用可能な場合は、CPIが7%以上のインフレの期間でも、他の期間と同程度の収益率を得られる可能性が高い。

・ただし、イールドカーブを適用可能な場合でも、CPIが10%以上の極端に強いインフレの期間では、株式投資の収益率は、低下する可能性が高い。

3.CPIのインフレの周期性

【分析結果】
・CPIが7%以上のインフレの期間は、商品循環のピークとほぼ同タイミングで、約30年周期で出現する。

・CPIが7%以上のインフレの期間は、1回の景気拡大期のみで終わるインフレ(以下、弱いインフレ)と、複数回の景気拡大期及び後退期にまたがって継続するインフレ(以下、強いインフレ)を、交互に繰り返す。

4.CPIのインフレと債券循環(コンドラチェフ循環)

【分析結果】
・債券循環(コンドラチェフ循環)と呼ばれる、60年周期の長期金利のピークで、債券が売られる結果、強いインフレが出現する。

・同様に、60年周期の長期金利のボトムでは、債券が売られない為に、弱いインフレが出現する。

次回からは、新たに短期金利政策金利)と商品循環との関係を調べてみようと思います。