商品循環 第31回 1970年代~2000年代のCPI

【直近の履歴】
第30回 商品循環とCPI (データ作成手順)
第29回 商品投資と株式投資の混合戦略を規定する
第28回 1929年以降の景気循環と株価の変化

今回は、前回作成したPPIとCPIの連結データに基づいて、現在から過去へ遡って、商品循環とCPIの関係を調べてみます。

データは、SkyDriveにアップしてあるので、詳細は、以下のリンクを参照してください。
CPI_PPI

1.2007年10月~2008年12月

年月 CPI(%) PPI(%)
2007/10/1    3.54%    7.71%
2007/11/1    4.31%    8.75%
2007/12/1    4.08%    7.85%
2008/1/1    4.28%    10.37% <= PPIが10%超え
2008/2/1    4.03%    9.53%
2008/3/1    3.98%    10.99%
2008/4/1    3.94%    11.38%
2008/5/1    4.18%    13.44%
2008/6/1    5.02%    15.36%
2008/7/1    5.60%    17.36% <= PPIのピーク、CPIのピーク
2008/8/1    5.37%    15.43%
2008/9/1    4.94%    13.49% <= リーマンショック発生
2008/10/1    3.66%    6.70% <= PPIが10%割れ
2008/11/1    1.07%    -1.23%
2008/12/1    0.09%    -4.31%

この期間は、現在の商品の強気相場の第一回目のピークで、2008年7月に原油価格が1バレル147ドルまで上昇した時期です。

上のデータを見ると、商品価格の高騰で、PPIが10%を超える期間が、3Qほど続きましたが、CPIは、あまり反応せずに、PPIと同月に5%超で、ピークアウトしています。

これは、リーマンショックで急速な需要の減退が発生したことと、1990年代以来、長期間に渡ってインフレが抑制されて来たことが、原因だと考えられます。

2.1978年12月~1981年7月

年月 CPI(%) PPI(%)
1978/12/1    9.02%    9.82%
1979/1/1    9.28%    10.48% <= PPIの10%超え
1979/2/1    9.86%    10.96%
1979/3/1    10.09%    11.31% <= CPIの10%超え
1979/4/1    10.49%    11.45%
・・・
1980/1/1    13.91%    15.45%
1980/2/1    14.18%    16.02% <= PPIのピーク
1980/3/1    14.76%    15.44% <= CPIのピーク
1980/4/1    14.73%    14.17%
・・・
1981/6/1    9.55%    11.05%
1981/7/1    10.76%    9.63% <= PPIの10%割れ
1981/8/1    10.80%    8.20%
1981/9/1    10.95%    7.74%
1981/10/1    10.14%    6.57%
1981/11/1    9.59%    6.01% <= CPIの10%割れ

この期間は、前回の商品循環のピーク(1980年)に相当します。

上のデータを見ると、商品価格の高騰で、PPIが10%を超えると、直ちに、二ヶ月後には、CPIも10%も超えています。
PPIは、1980年2月に16%超でピークを付け、CPIも、翌月に、14%超でピークを付けています。
その後、PPIは、1981年7月に、10%を割りましたが、CPIが10%を割ったのは、4ヶ月後の1981年11月でした。

このように、CPIがPPIの上昇に敏感に反応して、直ぐに上昇し、一方で、PPIの低下には、なかなか、反応しなかったという特徴があります。

原因としては、1970年代の後半から1980年代初頭にかけて、インフレ体質が経済に浸透していたため、CPIが上がり易く下がり難い傾向にあったと考えられます。

3.1973年2月~1975年7月

年月 CPI(%) PPI(%)
1973/2/1    3.87%    8.16%
1973/3/1    4.59%    10.71% <= PPIの10%超え
1973/4/1    5.06%    10.94%
・・・
1974/1/1    9.39%    17.79%
1974/2/1    10.02%    17.92% <= CPIの10%超え
1974/3/1    10.39%    16.59%
・・・
1974/10/1    12.06%    22.89%
1974/11/1    12.20%    23.44% <= PPIのピーク
1974/12/1    12.34%    20.89% <= CPIのピーク
1975/1/1    11.80%    17.14%
・・・
1975/4/1    10.21%    12.75%
1975/5/1    9.47%    11.78% <= CPIの10%割れ
1975/6/1    9.39%    11.54%
1975/7/1    9.72%    8.70% <= PPIの10%割れ

この期間は、1980年をピークとする商品循環における、強気相場の初期段階に当たります。

上のデータを見ると、1973年3月に、PPIが10%を超えても、CPIの反応は鈍く、11ヶ月後になって、やっと、CPIが10%を超えています。
その後、PPIが、1974年11月に23%超でピークを付けると、CPIも、翌月に、12%超でピークを付けています。
さらに、CPIは、PPIよりも早く、1975年5月に、10%を割り、PPIが10%を割ったのは、2ヶ月後の1975年7月でした。

このように、PPIの上昇に対して、CPIの反応が鈍く、PPIの下落に、CPIが直ぐ反応する点は、2008年と同様の傾向です。

次回は、さらに、年月を遡って、1960年代以前のCPIと商品循環の関係を探ってみようと思います。