商品循環 第34回 商品循環とCPIの関係を一般化する

【直近の履歴】
第33回 1910年代~1930年代のCPI
第32回 1940年代~1950年代のCPI
第31回 1970年代~2000年代のCPI

今回は、前の3回の分析結果に基づいて、商品循環(PPI)とCPIの関係を一般化してみようと思います。

分析の基となるデータは、SkyDriveiアップしてあるので、詳細は、以下のリンクを参照してください。
CPI_PPI

1.商品の強気相場の初期段階でのPPIとCPIの関係

これまでの分析結果から、商品の強気相場の初期段階では、PPI(商品価格)が急上昇しても、CPI(消費者物価)の反応は、鈍いという傾向がありました。

過去3回の商品の強気相場の初期段階で、PPIの前年同月比が10%を超えてから、CPIの前年同月比が10%を超えるまでの期間を調べた結果が、以下のものです。

PPIの10%超え→CPIの10%超え→Nヵ月後
1915年12月→1916年10月・・・10ヵ月後
1941年6月→1941年11月・・・5ヵ月後
1973年3月→1974年2月・・・11ヵ月後

平均すると、8.7ヶ月のタイムラグがあります。

2.商品の強気相場のピークでのPPIとCPIの関係・・・10%超えのタイムラグ

これまでの分析結果から、商品の強気相場のピークでは、PPI(商品価格)の上昇に対して、CPI(消費者物価)も敏感に反応しました。

過去3回の商品の強気相場のピークで、PPIの前年同月比が10%を超えてから、CPIの前年同月比が10%を超えるまでの期間を調べると、以下のとおりです。

PPIの10%超え→CPIの10%超え→Nヵ月後
1919年12月←1916年10月・・・3年3ヵ月前
1946年7月→1946年8月・・・1ヵ月後
1979年1月→1979年3月・・・2ヵ月後

特に、1919年の場合は、商品の強気相場の初期段階で、CPIが10%を超えると、強気相場のピークを迎えるまで、3年以上、10%超を維持していました。

この結果を総合すると、商品の強気相場のピークでは、既に、CPIが10%を超えているか、遅くとも、PPIが10%を超えて、2ヶ月以内には、CPIが10%を超えたということになります。

3.商品の強気相場のピークでのPPIとCPIの関係・・・ピークアウト時期のタイムラグ

次に、過去3回の商品の強気相場のピークで、PPIの前年同月比のピークと、CPIの前年同月比のピークの期間のずれを調べると、以下のとおりです。

PPIのピーク→CPIのピーク→Nヵ月後
1920年4月→1920年6月・・・2ヵ月後
1947年3月→1947年3月・・・同じ月
1980年2月→1980年3月・・・1ヵ月後

上のように、商品の強気相場のピークでは、CPIとPPIは、ほぼ、同タイミングでピークを打つことが分かりました。

平均を取ると、PPIのピークアウトの翌月に、CPIがピークアウトします。

4.まとめ

以上の分析結果をまとめると以下のとおりです。

(1)商品循環における強気相場の初期段階では、PPI(商品価格)の上昇に対して、CPI(消費者物価)の反応が鈍く、PPIが10%を超えてから、平均して、8.7ヶ月後に、CPIが10%を超える。

(2)商品循環における強気相場のピークでは、PPI(商品価格)の上昇に対して、CPI(消費者物価)は、敏感に反応する。すなわち、商品の強気相場のピークでは、既に、CPIが10%を超えているか、遅くとも、PPIが10%を超えて、2ヶ月以内に、CPIが10%を超える。

(3)商品循環における強気相場のピークでは、CPIとPPIは、ほぼ、同タイミングでピークを打つ。平均では、PPIがピークを打った、翌月には、CPIもピークを打つ。

特に、上の(2)と(3)は、商品循環のピークを判断する重要な基準になる可能性があります。

次回は、商品から少し離れて、CPIと株価の関係について、再び検証してみようと思います。