神戸大学 高温でも働く遺伝子組み替え酵母菌を開発

稲わらなどのセルロースからバイオエタノールを合成する場合、セルロース酵素で糖化して、作られた糖を酵母菌でエタノールに変えるという2工程が必要になります。

糖化の工程で酵素が活発に活動する温度は、45℃~50℃ですが、この温度では、酵母菌が活動しないために、これらの工程は同時に処理が出来ませんでした。

今回、神戸大学の研究グループが、高温でも働く遺伝子組み替え酵母菌を開発して、2工程を同時に処理することに成功しました。

その結果、生産速度は7割向上し、最終的な生産量は3割ほど増えるということで、バイオエタノールの工業的な量産技術の確立に一歩近づきました。

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神戸大学の近藤教授らは、稲わらなど食用にならない植物の繊維質から石油代替燃料のバイオエタノールを効率良く生産する技術を開発した。高温でも働く酵母菌に作らせる。生産速度は7割向上し、最終的な生産量は3割ほど増えるという。量産向けに改良して実用化を目指す。

バイオエタノールを作る場合、酵素セルロースを糖にし、さらに酵母菌でエタノールに変える。近藤教授らは酵母の表面に酵素を作らせて、セルロースからエタノールまで一度に処理できる遺伝子組み換え酵母菌の開発を進めている。ただ酵素が最も活動するセ氏45~50度では、従来の酵母菌はほとんど生産できなかった。

このため酵母菌を高温に強い種類に取り替えた。セ氏48度で試したところ、従来の技術よりもエタノールの生産量が3割ほど増えた。

酵母菌はエタノールが一定の濃度を超えると働きにくくなる。今後はこうした高濃度の溶液中での反応などを高めて実用化を目指す。(日経新聞

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神戸大学バイオエタノール研究が進んでいる背景には、灘の日本酒の生産で培われた、酵母などの高い発酵技術があるようです。