知られざる米国の現状:環境規制とシェールガス革命

JOGMECが、2月2日に開催した国際セミナーについて、レポートを公開しています。


このセミナーには、米国の著名なエネルギー専門家であるCSISシニア・アドバイザーのGuy F. Caruso(カルーソ)氏とEPRINC理事長のLucian Pugliaresi(パリアレシ)氏が参加して、キャップアンドトレード法案とシェールガスについて、最新の情報を伝えてくれています。

・環境規制の目標達成の鍵を握るのが「技術開発」であり、CCSなどのCO2削減技術がどの程度有用となるかである。

・EIA(米国エネルギー省統計局)は利用技術や制度設計を前提に六つのケースを想定している。

・EIAが示した六つのシナリオにおいてCO2の価格予想は4倍もの開きがある。予想価格は1トンあたり40ドル~190ドルの広い範囲にわたり、これが、企業側に対し投資決定を惑わす原因となっている。石炭火力なのか、原子力発電なのか、複合ガス発電なのか、どの燃料を投資選択するのが最適かが不透明である。

・驚きの事実として、ロシアを抜いて米国は世界最大のガス生産国になった。

・最近の状況から推察するに、石油リンクの価格体系が崩れ始め、今後2~3年で完全になくなってしまうかもしれない。

・2030年まで天然ガス消費量は大きく伸びていくと見られている。ガスの供給量が需要量を充足することは特に問題はないものと考えている。

シェールガスの生産減退率は非常に高いために資産価値はそんなに高くないとの意見もあるが、例えば、ノルウェーの国営石油会社Statoilが30億ドル以上を投じて中堅企業のChesapeakeからシェールガスの資産を取得したが、これを含めて幾つかの資産取引を評価すると適正な価格で購入していると思う。

・一方、現在、一つの環境問題が浮上している。シェールガス層の開発が帯水層を汚染するという懸念である。

・一部の州政府は問題にしているところもあるが、ほとんどの州ではこのまま開発は進むと思われる。

・操業に関して厳しい規制がかけられれば、水圧破砕後の水処理方法を変更するようなことになり基礎的なコストも変わってくることになる。生産量見通しも、水圧破砕に添加する化学薬品の利用問題、圧入水の水処理の問題などを考えれば正確に予測するのは困難である。

・現在のところ、米国では、経済不況に苦しむ地域や失業率の高い地域では雇用創出を優先させるべきとの意見が多い

・石油価格が高値で推移し、ガス価格とのギャップが大きくなれば、原料となるガス価格に経済性が大きく左右されるGTL事業がより合理的になる。

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これを読むだけでも、米国の専門家が、豊富な知識で明確に発言しているのが、手にとるように分かります。
お勧めのレポートです。