元サウジアラムコの石油技術者に対するインタビュー

ASOP(アメリカ・ピークオイル協会)が、元サウジアラムコの地理学者で採掘技術者のサダド・アル・ハッセイニ氏に対してインタビューを行い、その内容がウェブで公開されています。



・世界的に見て、今後、5~6年間の新規油田からの追加生産量は、その間の既存油田の減退量を相殺することは、出来ないだろう。

・これは、OPEC諸国の減退率が3.5%から4%、非OPEC諸国の減退率が6%から6.5%という、楽観的な前提に立っての試算である。

・短期的には、2-3年以内に供給不足に陥るだろう。長期的にも、探査から操業開始まで10年以上かかるので、事態はより悪くなるだろう。

・サウジの日量1250万バレルは維持可能だと思う。問題は他の産油国が生産量を維持できない事だ。

・カナダのタールサンドのような非在来型の油田に対する投資額は、同規模の在来型の三倍以上かかるので、コスト高で投資が促進されない。

・ドイツのCTLも、高価なので、原油の代替には成り得ない。

・BPのメキシコ湾の油田のような深海油田は、開発コストが非常に大きい。

アンゴラの油田は素晴らしい発見だったが、既に大陸棚は掘り尽し、残りの油田は深海底にある。

・一般的に油田から発生するサワーガスを分離して、再び、油層に注入しなければならない。硬い塩分層に到達したときにどうするかなど、深海油田で解決すべき技術的な問題は多い。

・ブラジルのテュピ油田の生産開始は、2017年か2018年だ。目標は、日量100万バレルだが、その前に、ブラジルの既存油田の減退量が100万バレルを上回るだろう。

・良くてもイーブンなのだ。

◆◆◆

「サウジの原油生産は大丈夫だが、他の産油国は、・・・・。」という所は、少し割り引いて理解した方が良さそうですが、他の部分は、技術者らしい客観的な受け答えだったと思います。
2011年以降、景気が回復したときに、需要に合わせて原油生産量を増やせるかどうか、非常に注目されます。