米・流出外交文書でサウジの埋蔵量と生産能力に疑義

英ガーディアン紙から、ウィキリークスに流出した外交通信文書で、米国がサウジアラビアの石油埋蔵量に疑念を持っていることが分かりました。


・この外交通信文書は、リヤドの米大使館からワシントンに送られたものです。

・リヤドの米大使館は、サウジ政府の上級石油担当高官にインタビューして、ワシントンに対して、サウジの埋蔵量が公表の40%近くの3000億バレルが水増しされていると警告しています。

・この外交通信文書は、2007年から2009年の間に書かれたもので、地理学者でサウジアラムコの前開発責任者である Sadad al-Husseini氏が、米国大使館を通じて、米政府に警告したものです。

・Sadad al-Husseini氏の発言内容

 ・今後、10年以内に、サウジは、日量1200万バレルまで生産量を上げる事が可能である。

 ・ただし、その前に、おそらく、2012年頃に、世界の原油生産量はピークアウトするだろう。

 ・サウジのエネルギー産業は、外国からの投資を求めるために、埋蔵量を大幅に水増ししているので、原油価格の上昇を抑える事は不可能である。

 ・現在のサウジアラムコの上級開発担当副社長のAbdallah al-Saif氏は、プレゼンで、同社は、7160億バレルの埋蔵量を持ち、そのうち、51%が採掘可能で、20年以内に、9000億バレルまで延ばせるだろうと述べている。

 ・しかし、Sadad al-Husseini氏がこの数値を否定して、3000億バレルは水増しで、当初の50%まで採掘された後は、高原状態を維持され、その後、減少していくだろう。

・この内容は、ワシントンに伝えられ、大使館は、「Sadad al-Husseini氏は経験があり、悲観主義者ではなく、信頼できる人物である。」と伝えています。

・7ヵ月後に、リヤドの大使館は、ワシントンに対して、2つの外交文書を送り、我々の関心は、サウジが長期的にどれだけの期間、石油市場に影響力を及ぼすことが出来るか確認することであると述べています。

・以下のような内容の4番目の文書は、2009年10月にワシントンに送られました。

 ・毎年10%拡大するサウジの電力消費の急拡大がサウジの原油輸出の脅威になっている。
 ・2018年には、現在の二倍の6.8万メガワットの発電能力が必要となる。

・また、この報告では、原油開発プロジェクトの遅れと事故が報告され、サウジアラムコが減退を食い止めるだけで必死であることを述べています。