2009年8月 米・中古住宅販売 年率510万戸 (追記)

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2009年8月の米国の中古住宅販売と中古住宅在庫が発表されました。


中古住宅販売戸数は前月比2.7%減少して、年率510万戸となりました。市場予想の535万戸を大きく下回り、5カ月ぶりの減少となりました。

上の最初のグラフは、中古住宅販売の推移です。
拡大図は、以下のリンク(CR氏のブログ)を開いて、最初のグラフをクリックしてください。
Existing Home Sales Decline in August

中古住宅販売の上昇トレンドが小休止しているように見えます。

中古住宅販売の中身を分析すると、全体の31%が差し押さえ物件等の販売で、購入者の30%が新規住宅購入者です。

現在、中古住宅販売が新築住宅販売を大きく上回っている異常な状態にあるので、住宅販売の正常化という面では、中古住宅販売の減少は、特に問題無いと思います。

ニ番目のグラフは、2002年からの中古住宅在庫の年率換算での変化率の推移です。
オリジナルは、以下のリンクの3番目のグラフです。
More on Existing Home Inventory

住宅在庫は前月比10.8%減の362万戸。現在の販売ペースで8.5カ月分と、いずれも、前月から縮小しました。
中古住宅在庫の減少は良い兆候ですが、しかし、正常値と比べて、依然、高い水準に在ります。

さらに、大きな問題となるのが、今後の差し押さえ物件の増加による「影の在庫」の存在です。
700万戸の「影の在庫」を予想する見方もありますが、CR氏は、「それは、大きすぎる。」と言っています。
Housing Crash to Resume on 7 Million Foreclosures, Amherst Says

三番目のグラフは、中古住宅在庫の月別の推移です。
点線は、住宅ブームの年で、実線は、住宅不況の年です。

オリジナルは、以下のリンクの1番目のグラフです。
More on Existing Home Inventory

赤い実線が、今年の推移ですが、米政府の政策によって、2006年以下の水準に押し下げられています。
今後、政策効果が切れると、他の年度との比較で、500万戸程度まで、中古住宅在庫が上昇しても不思議では無いように見えます。

◆◆◆

8月の中古住宅販売は、前月より減少したものの、在庫がそれ以上に減少しており、正常化に向けて良い方向に進んでいると思います。
ただし、一本調子で正常に向かう可能性は低く、今後、表面化してくる「影の在庫」が、住宅販売に与える影響を、慎重に見ていく必要があると思います。