ロシア 原油を抜け駆け増産 利益は200億ドルに達する

OPECとの減産の約束を破って、原油増産で莫大な利益を上げているロシアについて、「石油の内外情報を読み解く」で詳しく解説されていました。
非常にリアリティがあって、興味深い内容です。


・確かにOPECメンバーではないロシアは生産削減に同調する必要は無い。

・しかし、これまでのロシアの言動を振り返ると、減産に対する確約はしないまでも、リップサービスの「口約束」をしていることは紛れも無い事実である。

・ロシアは昨年12月以降OPECの期待をことごとく裏切り、それどころかサウジアラビアを上回る1千万B/D近くの世界最高の生産水準を続けている。

原油価格はこの間、OPECの減産が奏功し、年初の30ドル台から70ドル前後にまで回復した。これによってタナボタの利益を得たのが誰であり、割を食ったのが誰であるかは明らかであろう。特にOPEC最大の生産国であるサウジアラビア逸失利益は莫大である。

・専門家はロシアが得たタナボタ利益は200億ドルに達し、一方サウジアラビアの年間逸失利益は1千億ドル、GDPのほぼ25%に達すると推算している 。

・12月総会の減産決定後、OPEC加盟国はほぼ減産幅を遵守し、その結果価格は70ドル前後まで回復した。

・しかし最近では加盟国に抜け駆けの増産をする国が絶えないようであり、Bloombergによれば3-4月に80%であった遵守率は最近では71%に落ちており抜け駆けの増産に走る国が少なくないようである。その筆頭格がベネズエラと言われる。

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OPECが減産協定を締結しても、ロシアなどの非OPEC国による増産、ベネズエラなどのOPEC加盟国による抜け駆け増産によって、価格カルテルが機能しなくなるという姿は、以前と変わらないようです。

来年には、OPECの減産協定は、解除されると思います。今後の原油価格の動向が気になるところです。

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日経にも、ロシアの原油輸出拡大の話題が載っていました。
ロシア、石油輸出量で世界1位視野に サウジを年内に逆転も