月桂冠 スーパー酵母によるバイオエタノール生産技術を共同開発

月桂冠 スーパー酵母によるバイオエタノール生産技術を共同開発

http://www.jyokai.com/archives/2008/08/post_1907.html
http://www.gekkeikan.co.jp/RD/research/new007.html

月桂冠総合研究所がNEDOとの共同開発で、麹菌を固体培養してセルロースの分解酵素を大量生産させる技術を開発しました。

この技術では、まず、麹菌から見出したセルロース分解酵素を作る遺伝子を清酒酵母に組み込むことで、酵母の細胞表面へ、酵素を並べた「スーパー酵母」を作ります。

この「スーパー酵母」の固体培養で分解酵素を強力に生産させることにより、酵母が植物セルロースをアルコール発酵のできるグルコースにまで分解し、植物原料の前処理を代替することが可能になります。

これまで、前処理には、硫酸などの化学薬品か、高温高圧水による前処理が必要でした。しかし、これらの方法は原料に大量の水を加え液状化したあと、発酵・蒸留する必要があり、省エネ化や装置のコンパクト化の大きな障害になっていました。

今回、同研究所が開発したシステムは、植物原料を固体状のまま分解して、発酵を行わせ、できたエタノールを常温常圧で回収するもので、使用する水量の軽減、蒸留エネルギーの削減が見込めます。その結果、植物原料が発生する場所ごとに分散して、小規模なプラントを用いて処理することも可能です。

また、通常、アルコール醸造では、「麹」による糖への分解と、「酵母」による発酵という2つの経路が必要ですが、スーパー酵母には、麹菌の機能を組み込んでいるため、亜臨界水で前処理したセルロースから単独でエタノールを作ることができます。