2007年後半の原油需給の見通し

IEAは、2007年の第四四半期の世界の原油需要が一日当たり8,800万バレルと過去最高になると予想しています。また、原油需要の伸び率については、年後半にかけて、前年比2.6%まで加速することを想定しています。

2007年 伸び率(%)
第一四半期 0.4
第二四半期 1.4
第三四半期 2.4
第四四半期 2.6

このような、旺盛な原油需要は、欧州、中国、米国の堅調な景気に基づくものです。現時点で、欧州と中国の景気が後退する可能性は少なく、唯一、米国景気が減速する懸念がありますが、その場合でも、世界的な原油需要が急減することは無いと考えられます。

一方、供給側には、多くの不安定な要素があります。
最も懸念されるのは、サウジアラビアの供給余力です。現在、サウジアラビアは、アジア向け重質油を中心に供給量を絞っています。この削減が、既存油田の減退によるものである場合、需要の伸びに即応して、供給量を拡大できるかどうかは疑問です。
また、ナイジェリアの武装勢力による油田地帯への攻撃、イランの核開発問題、イラクの内戦状態の悪化、イスラエルパレスチナ問題、ベネズエラチャベス政権による石油権益国有化など多くの地政学的リスクが顕在化する可能性があります。

現在の原油相場(WTI)は、米国のガソリン需給の逼迫から1バレル70ドルを超えて高騰していますが、ハリケーンシーズンのピークである9月以降には、一旦、60ドル台に下落すると考えられます。
しかし、冬場の灯油の需要期に入ると、今度は世界的な原油需給の逼迫により、再び1バレル70ドルを目指す可能性が高いと考えられます。