投資観 第4回 2008年の日本の景気後退と逆イールドの関係

前回は、2008年の米国の景気後退における、住宅統計と米国債イールドカーブの関係について、述べました。

今回は、2008年の日本の景気後退と米国債イールドカーブの関係について、述べます。

まず、日本と米国の歴史的な景気後退の関係を整理してみます。

以下のグラフは、1950年1月からの日本と米国の景気後退期間を比較したグラフです。
上段(深緑色)が米国の景気後退期間を表し、下段(朱色)が日本の景気後退期間を表しています。

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1950年以降、日本では、16回の景気後退が発生し、そのうち、半数の8回の景気後退が、米国の景気後退と時期的に重なっています。

また、1970年以降は、米国が景気後退に陥ると、日本もほぼ同時期に景気後退に陥っています。

このように、現時点では、米国の景気後退を予測することによって、日本の景気後退を予測する可能性が高く、従って、米国の景気後退の先行指標であるイールドカーブは、日本の景気後退の先行指標であるとも言えます。

以下のグラフは、日経平均株価の、2002年1月から2010年12月までの月次終値の推移です。

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青い長方形が日本の景気後退期間を表し、黄色い長方形が米国の景気後退期間を表しています。

2006年3月29日に米国債イールドカーブの逆イールド(90日移動平均)が発生し、その、22ヶ月後に、米国が景気後退に入り、さらに、その、2か月後に、日本が景気後退に入りました。

米国債の逆イールドを検知した2006年3月に、日経平均を売却した場合(1万7059円)のパフォーマンスを、機会損失と損失回避の差として、算出すると以下のようになります。

機会損失・・・景気後退入り前の最高値である2007年6月の1万8138円まで、保有しなかったことによる利益機会の損失割合。

  (18138 - 17059) ÷ 17059 × 100% = 6.3

損失回避・・・景気後退入り後の最低値である2009年2月の7568円まで保有しなかったことによる損失の回避の割合。

  (7568 -  17059) ÷ 17059 × 100% × (-1) = 55.6

投資パフォーマンス = 損失回避 - 機会損失 = 49.3

前々回の記事で計算した、S&P500指数の投資パフォーマンスと比較すると以下のようになります。

49.3(日経平均の投資パフォーマンス) > 18.7(S&P500指数の投資パフォーマンス)

このように、2008年の景気後退では、逆イールドを売却の指標とした場合、日本株の投資パフォーマンスの方が、米国株を上回っていたことになります。

次回は、さらに、時代を遡って、2001年の景気後退(ドットコムバブルあるいはITバブルの崩壊)におけるイールドカーブと米国株の関係について述べたいと思います。