【直近の履歴】
第59回 1920年以前の大麦、原油、銅の価格を調べる
第58回 1920年以前のトウモロコシと綿花の価格を調べる
第57回 1920年以前の農産物価格の推移
前回と前々回の二回に渡って、1920年以前の個別商品として、トウモロコシ、綿花、大麦、原油、銅の価格について調べてきました。
今回は、1920年以前の米国の全体的な物価動向として、PPIについて調べる事にします。
1.出典第59回 1920年以前の大麦、原油、銅の価格を調べる
第58回 1920年以前のトウモロコシと綿花の価格を調べる
第57回 1920年以前の農産物価格の推移
前回と前々回の二回に渡って、1920年以前の個別商品として、トウモロコシ、綿花、大麦、原油、銅の価格について調べてきました。
今回は、1920年以前の米国の全体的な物価動向として、PPIについて調べる事にします。
公式に得られるPPIの月次データの最も古いものは、1918年ですが、年次データに関しては、研究者のサイトなどで公表されています。
イェール大学のロバート・シラー教授のサイトにも、1920年以前のPPIおよびCPIの年次データが載っています。
Prices, Dividends, Earnings, 1871-present with Associated Interest Rate, Price Level and Consumption Data
2.PPI 系列1
以下(系列1)は、1982年1月を100とした場合の1871年から1921年までのPPIと、その前年比の推移です。
Year PPI YtoY(%)
1871 15.39
1872 15.62 1.49%
1873 15.98 2.30%
1874 15.27 -4.44%
1875 14.21 -6.94%
1876 13.39 -5.77%
1877 13.51 0.90%
1878 11.4 -15.62%
1879 10.22 -10.35% <= PPIのボトム
1880 12.33 20.65%
1881 11.63 -5.68%
1882 12.57 8.08% <= PPIのピーク
1883 12.33 -1.91%
1884 11.4 -7.54%
・・・
1895 8.11 -4.14%
1896 8.22 1.36%
1897 7.99 -2.80% <= PPIのボトム
1898 8.22 2.88%
1899 8.34 1.46%
・・・
1918 21.6 22.73%
1919 23.2 7.41%
1920 27.2 17.24% <= PPIのピーク
1921 19.6 -27.94%
【系列1のデータ源泉】
・1913年以前・・・Warren and Pearson Index [1935], Chapter 1, Table 1, pp. 11–14の1月分データを1913年を基準として割った商
・1913年以降・・・1982年を基準年としたPPI全コモデティの1月分データ。労働省のサイトから取得可能。
3.PPI 系列2
以下(系列2)は、1967年の年間平均を100とした場合の1871年から1921年までのPPIと、その前年比の推移です。
Year PPI YtoY(%)
1871 44.1
1872 45.7 3.63%
1873 45.4 -0.66%
・・・
1878 33.2 -9.54%
1879 31.8 -4.22% <= PPIのボトム
1880 35.5 11.64% <= PPIのピーク
1881 34.4 -3.10%
1882 35 1.74%
・・・
1894 22.7 -10.28%
1895 23 1.32%
1896 22 -4.35% <= PPIのボトム
1897 22 0.00%
1898 23 4.55%
・・・
1918 62.4 20.23%
1919 67.5 8.17%
1920 79 17.04% <= PPIのピーク
1921 57.7 -26.96%
【系列2のデータ源泉】
・1871年~1892年・・・1890年から1899年を100とするWPI(Appendix I of BLS Bulletin #114より)の年平均を4.1613で割った商
・1900年~1913年・・・1890年から1899年を100とするWPI全コモデティ(卸売り価格、BLS Bulletin #149, Government Printing Office, Washingtonより)の1月分データを4.1613で割った商
・1914年~1923年・・・1913年を100とするWPI全コモデティ(Federal Reserve Bulletinより)の1月分データを2.949で割った商
・1924年~1946年・・・1926年を100とするWPI全コモデティ(Federal Reserve Bulletinより)の1月分データを1.933で割った商
・1947年以降・・・1967年を100とするPPI全コモデティ(Survey of Current Businessより)の1月分データ
4.PPI 系列3
以下(系列3)は、1967年の年間平均を100とした場合の1871年から1921年までのPPIと、その前年比の推移です。
Year PPI YtoY(%)
1871 44.1
1872 45.7 3.63%
1873 45.4 -0.66%
・・・
1877 36.7 -2.39%
1878 33.2 -9.54%
1879 31.8 -4.22% <= PPIのボトム
1880 35.5 11.64% <= PPIのピーク
1881 34.4 -3.10%
1882 35 1.74%
・・・
1894 22.7 -10.28%
1895 23 1.32%
1896 22 -4.35% <= PPIのボトム
1897 22 0.00%
1898 23 4.55%
・・・
1918 63.9 9.61%
1919 67.8 6.10%
1920 74.4 9.73% <= PPIのピーク
1921 48.4 -34.95%
【系列3のデータ源泉】
・1871年~1892年・・・1890年から1899年を100とするWPI(Appendix I of BLS Bulletin #114より)の年平均を4.1613で割った商
・1891年~1913年・・・1913年を100とするWPI全コモデティ(卸売り価格、BLS Bulletin #320, Government Printing Office, Washingtonより)の年平均を3.0395で割った商
・1914年~1923年・・・1913年を100とするWPI全コモデティ(Federal Reserve Bulletinより)の年平均を3.038で割った商
・1924年~1946年・・・1926年を100とするWPI全コモデティ(Federal Reserve Bulletinより)の年平均を1.9843で割った商
・1947年以降・・・1967年を100とするPPI全コモデティ(Survey of Current Businessより)の年平均
5.分析
1870年代から1920年代にかけて、非常に激しいデフレとインフレが繰り返されていました。
・1870年代から1879年を底に、デフレが見られる。
・1880年代初頭に一旦、物価が上昇するものの、その後、激しいデフレが見られる。
・激しいデフレは、1896年から1897年まで続いた。この間に物価は、4割近く下落。
・その後、1920年をピークとするインフレが観測される。この間に物価は、2.4倍程度、上昇。
6.データ公開先
今回のPPIデータは、SkyDriveに保存しておきました。
公開 => PPI_from1871
次回は、このような、1920年以前のデフレとインフレの影響を考慮した物価調整後の商品価格を計算して、分析してみようと思います。