北米におけるバイオエタノール燃料の最新状況(1)

石油エネルギー技術センター(JPEC)が、北米におけるバイオエタノール燃料の最新状況と見通しをレポートしています。


・トウモロコシを原料とする北米のバイオエタノール業界は、1970年代後半から政府の厚い優遇措置を受けて成長してきた。最近でも、米国内で生産されるバイオ燃料の大部分はトウモロコシ由来エタノールであり、次世代型のバイオ燃料はプロセス確立や増産に時間を要している。

・しかし、バイオエタノールの原料となるトウモロコシやサトウキビは食用原料となる割合が大きく、エタノール原料としての価格は穀物価格や砂糖価格などの国際的な先物取引相場に多大な影響を受けている。しかし、作付面積から予想される翌年の収穫量は、昨今のような世界的な干ばつや冷害の発生などにより、国際的な需給や価格推移の予測は難しくなっている。

温室効果ガス(GHG)の削減効果に関しては、米国ではケース毎のライフサイクルアセスメントから削減率が計算され、同じトウモロコシ由来エタノールの場合でも立地やプロセスの違いなどにより、適用される削減率はかなりの幅があると考えられる。

カリフォルニア州の様に厳しい規制を設けている州においては、サトウキビ由来エタノールの使用が必要となる可能性が高いうえ、バイオエタノール燃料に対する連邦税の優遇措置が財政支出削減により縮減される可能性も高い。

バイオ燃料の収益悪化から新たな設備投資が行なわれずにE15の普及が遅れ、また厳しい規制を導入する州が増えてブラジル産エタノールの輸入量が増加するような場合には、米国のエタノール需要は頭打ちとなり、トウモロコシ由来エタノール製造者は厳しい経営環境に陥る可能性がある。