米国のスマートグリッドの最新事情

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三井物産戦略研究所が、米国のスマートグリッドの最新事情について、報告しています。


・現時点で、米国の全世帯の15%(2,000万世帯)にスマートメーターが導入されており、今後、導入率は2015年に50%、2018年には90%に達すると言われている。

・米国では猛暑等で突発的に生じる電力需要逼迫時に、ユーザー側の電力需要を電力会社が遠隔で制限する仕組み(デマンド・レスポンス:DR)を導入し、設備投資を抑えている。

メリーランド州ボルティモア・ガス&エレクトリック(BGE)のDRの例では、ユーザーが年間で50~200
ドルの対価を受け取る代わりに、電力の需給逼迫時にユーザーの空調を電力会社が遠隔で停止している。

・BGE社のDRはラジオ波による片方向通信であるが、スマートメーターの普及に伴い、ITを駆使した双方向
通信のシステムを提供する新興ベンダーも出ている。

・Opower社は全米トップ10を含む60以上の電力会社と契約締結し、約1,000万ユーザーの電力利用情報の分析・加工を行い、近隣ユーザーとの消費電力比較、月別の消費量推移、家電ごとの消費量をグラフ化し、電力会社の名前でユーザーへ郵送するカスタマーエンゲージメント・サービスを行っている。

テキサス州の電力会社、CenterPonit Huston Energyでは、試験的にスマートメーターを導入済みの500世帯に小型ディスプレイを配布し、そこにリアルタイムで各家電の電力消費量を配信した。

・その結果、71%のユーザーが、消費行動が変わったと回答し、83%のユーザーは夜や部屋にいない時に電灯を消すようになり、51%が電力を最も消費する空調を調整するようになった等、具体的な行動を起こすようになった。

・今後、iPhoneiPadAndroid搭載端末等のスマートフォンタブレット端末の爆発的な普及により、それらを活用した電力の見える化や家電の制御が、より身近になるだろう。