ジム・ロジャーズとコンドラチェフの波

5月に、イギリスのエジンバラで開催された会議で、ジム・ロジャースが次のように発言していました。
The Daily Crux

"Bonds in the U.S. have been in a bull market for 30 years," said Rogers. "In my view that's coming to an end." Rogers is only buying government securities now because 95 percent of the market expects them to decline, he said.

ブルームバーグの日本語記事

債券市場については「米国の債券市場は30年間強気相場が続いた」とし、「私の見方では、それは終わりを迎えつつある」とした。また「現在債券の空売りはしていない」とし、市場では95%が債券の下落を予想しているためだと説明した。

米国の債券が、30年毎に、強気相場と弱気相場を繰り返すことは、これまで、経験的に知られており、彼は、このことについて、述べているのだと思います。

すなわち、米国の長期金利は、60年周期の循環構造を持ち、これが、所謂、コンドラチェフ循環と正の相関関係を持つと言われています。

具体的に、過去の長期金利のピークを調べると、以下のとおりです。
1861年・・・6.45% →その後、2.2%(1886年)まで低下
1920年・・・5.27% →その後、2.53%まで低下(1946年)
1981年・・・14.17% →その後、2.04%まで低下(2008年12月)

若林栄四のフライングバックジャパン10
木村証券コラム 米10年国債利回りとコンドラチェフ循環

面白いことに、長期金利のピークと、30年周期の商品循環のピークが、2サイクルごとに一致しているのも、興味深い点です。

これまで、ジム・ロジャースがコンドラチェフ循環に言及したことが無いので、信じているかどうかは不明ですが、債券相場の長期的な転換点に差し掛かっているという認識を、持っているようです。

ニコライ・コンドラチェフ(WikiPedia)
ネットで調べていたら、コンドラチェフ波のサイトも見つかりました。
Kondratieff Wave

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ここからは、少し余談ですが、ブルームバーグの原文記事では、「Rogers is only buying government securities now 」の箇所が、日本語記事では、「現在債券の空売りはしていない」と、かなり、意訳されてしまっていました。

やはり、原文を読まないと、正しく意味が伝わらないと、感じています。