1.前回のまとめ
前回は、新規住宅資金貸付額の二番目の補完指標として、首都圏マンション契約率の有効性を、確認しました。
また、首都圏マンション契約率は、景気後退の先行指標として、単独でも有効性が高いことも確認しました。
2.東証住宅価格指数とは
東証住宅価格指数とは、首都圏の既存マンション(中古マンション)に関して、財団法人東日本不動産流通機構に登録された成約情報を活用し、同一物件の価格変化に基づいて算出された国内初の指数です。(東証のサイトより引用)
東証住宅価格指数は、日本の中古マンション市場の全体的な需給を反映すると考えられます。
3.東証住宅価格指数の推移
以下のグラフは、1993年6月からの東証住宅価格指数(首都圏総合指数)の推移です。
ノイズが少ないので、指数を加工せずにそのままプロットしています。
上のグラフから、不動産バブルの崩壊後、中古マンション価格は、約半分となり、2000年以降は、長期的になだらかなデフレ傾向が続いていることが分かります。
4.1997年の景気後退との関係
景気循環とは関係なく、長期的に中古マンション価格のデフレ傾向が続いていたことが分かります。
前回に述べたように、新築マンションの成約率は、1997年4月からの消費税増税を前にした駆け込み需要で、1996年に大きくピークを付けましたが、中古マンションに関しては、駆け込み需要が小さかったことがグラフから読み取れます。
5.2000年の景気後退との関係
1997年からの景気後退の時と同様に、この時期も、景気循環とは関係なく、長期的に中古マンション価格のデフレ傾向が続いていたことが分かります。
また、この時の景気後退は、製造業が中心の局所なものであり、不動産や建設などの非製造業への影響が比較的に小さかったことも、変化に乏しかった原因の一つとして関係していると考えられます。
6.2008年の景気後退との関係
見やすくするために、縦軸は、東証住宅価格指数から70ポイント控除して、プロットしてあります。
おそらく、バブル期とその後のマンションブーム(1994年頃)に過剰となった中古マンションの在庫が適正な水準まで減少し、この時期には、需給バランスで価格が変動するようになっていたのだと考えられます。
この時期の東証住宅価格指数のピークアウトは、景気後退に5ヶ月先行し、その後のボトムは、景気後退終了後、3ヶ月後に付けています。
7.2012年の景気後退との関係
見やすくするために、縦軸は、東証住宅価格指数から70ポイント控除して、プロットしてあります。