日米の景気循環の比較 第15回 新規住宅資金貸付額の四半期パターン

前回までは、新規住宅資金貸付額の4四半期移動平均のピークアウトを判断基準として、日本の景気後退を予測する方法を検討してきました。
 
今年は、同じ新規住宅資金貸付額の4四半期毎のパターンを判断基準とする方法を検討してみます。
 
1.1970年代
 
以下のグラフは、1970年代の新規住宅資金貸付額の4四半期毎の推移です。
 
イメージ 1
 
景気が巡航速度で安定的に拡大している間は、1974年から1978年のグラフのように、全体的に増加傾向にあっても、ほぼ、同じ形状が維持されます。
 
しかし、景気が加熱して、ピークに近づくと、実需ではない投機的な資金の流れによって、1979年のようにこれまでの安定的な形状が崩れます。
 
1974年から1978年までは、毎年、1Qから4Qへ右肩上がりの形状を続けていましたが、1979年は、2Qをピークとして、3Q、4Qと大きく右肩下がりとなっています。
これは、1979年2Qをピークに住宅投資が息切れしている兆候で、実際に、翌年の1980年1Qに景気後退に陥っています。
1979年3Qの数値が確認できる1979年11月に景気後退を予測できた可能性があります。
 
2.1980年代
 
以下のグラフは、1980年代の新規住宅資金貸付額の4四半期毎の推移です。
 
イメージ 2
 上のように、1980年から1984年までは、各年の四半期間の差は小さく、良く似た形状となっていることから、安定した実需に基づいた動きだったことが分かります。
 
ところが、1985年の4Qに入ると、急激に住宅資金貸付額が伸び始め、この辺りから、不動産バブルによる資金流入が激しくなっていることが分かります。
この急激な伸びは、1987年まで拡大が続き、特に、1987年3Qは、前期比29.7%、前年同期比では、96.9%という異常な伸びとなっています。
 
しかし、1988年に入ると、さすがに、伸び悩みが見え始め、1988年2Qは前年同期比でマイナスとなりました。
その後、1989年は消費税導入前の駆け込み需要で、一旦、増加に転じましたが、1990年には反動で減少して、1991年には景気後退に陥りました。
 
このように、四半期のパターンで予測した場合、1988年2Qの前年同期比でのマイナスを確認できる1988年8月に景気後退を予測して、その2年5ヶ月後に実際の景気後退となったわけです。
 
3.1990年代
 
以下のグラフは、1990年代の新規住宅資金貸付額の4四半期毎の推移です。
 
イメージ 3
 
上のように、1990年から1994年までの各年の四半期パターンには、大きな変化は見られませんでしたが、1995年の3Qに突然、新規住宅資金貸付額が激増しました。
これは、消費税増税前の駆け込み需要によるもので、1995年3Qは、前期比95.8%増、前年同期比では、140%増となっていました。
この傾向は、1996年の2Qまで続きましたが、1996年3Qには、前年同期比37.1%減とピークアウトが明らかになってきました。
1996年3Qのデータが確認できる1996年10月に景気後退を予測した場合、その、約半年後の1997年2Qに実際の景気後退入りとなったわけです。
 
4.2000年代
 
参考のために、2000年代の新規住宅資金貸付額の4四半期毎の推移を以下に表示します。
 
イメージ 4
 
12006年の3Qにややピークアウトが見られますが、2000年代には、消費税の増税が無かったため、1980年代や1990年代に出現した前年同期比で100%増といったような激しい変化は見られませんでした。
 
4.まとめ
 
新規住宅資金貸付額を景気後退の先行指標として使う場合、4四半期移動平均だけでは無く、四半期のパターン変化を見ることも、有効となります。