JOGMEC 中国における天然ガスの需給見通し

JOGMECが、中国における天然ガスの需給見通しについてレポートしています。


・供給を上回る旺盛な需要により、中国の天然ガス輸入比率は2割に上昇した。インフラ整備が進み、パイプラインガスの輸入が高い伸びを示した。また油価高騰、油価連動の長期契約増加により輸入LNGの調達価格は前年比4割増加した。

・中国政府は天然ガスの供給増加を見越し、都市ガスの天然ガス転換加速に踏み切った。政府(住宅都市建設部)は7月に「全国都市ガス発展12・5計画」を発表、2015年に都市ガスにおける天然ガス利用量は1,200億m3/年(12Bcfd)、利用人口は3億人を超える見通しである。

・中国の天然ガス消費は2015年には倍増し、2,700億m3 (26Bcfd)に達する見通し。2015年時点の需給ギャップは約1,100億 m3 (11Bcfd)に達し、パイプラインガスによる輸入660億 m3 (6.4Bcfd)、輸入LNG約3,200万トン/年(440億 m3 (4.3Bcfd)で補う計画の模様である。輸入LNGのインフラ整備(2015年時点)と供給見通しは概ね合致しているが、パイプラインガスのインフラ整備は供給計画を若干下回る懸念がある。

・中国における天然ガス需給ギャップは2015年に4割、2020年には5割に拡大する可能性がある。2020年前後の天然ガス供給には国産ガスの供給(CBM・シェールガス等非在来型を含む) 、天然ガス価格改革、ロシアからの天然ガス供給等の不確定要素があり、需給は大きく変動する可能性がある。

シェールガスの本格的な開発、ロシアからの天然ガス供給はいずれも2020年以降の見通し。中国がシェールガス開発と輸入LNGインフラ整備を加速し、ロシアの極東向けガスが宙に浮く可能性がある。日本にとり近隣から安定的にガスを調達する好機とも考えられる。