商品循環 第92回 アルミニウムの実質価格の長期的推移

【直近の履歴】

前回は、銅の実質価格の推移を調べました。
今回は、もう一つの代表的な産業金属であるアルミニウムの実質価格を求めて、分析してみます。

1.アルミニウムの名目価格の推移

アルミニウムの名目価格は、以下のサイトから取得しました。

1895年~1899年・・・Annual Average Primary Aluminum Price
1900年~2010年・・・ALUMINUM STATISTICS1 U.S. GEOLOGICAL SURVEY 
2011年・・・IMF Primary Commodity Prices

上記データに基づいて、 1895年から2011年までの、アルミニウムの名目価格の推移を、グラフ化すると以下のようになります。
単位を合わせるために、1トン当たりのドル価格としています。
イメージ 1


【アルミニウム名目価格のブレイクポイント】

1895年・・・1294.12ドル
1916年・・・1340ドルでブレイクするとともにこの時期のピークを付ける 
1979年・・・1560ドルでブレイク   
1980年・・・1680ドルでブレイク 
1988年・・・2430ドルでブレイクするとともにこの時期のピークを付ける     
2006年・・・2680ドルでブレイク  
2007年・・・2690ドルでブレイクするとともにこの時期のピークを付ける 

2.アルミニウムの実質価格の推移

  次に、いつものサイトのCPIを使って、アルミニウムの実質価格を計算してみます。

Historical Value of U.S. Dollars

グラフ化すると、以下のとおりです。

イメージ 2

 【アルミニウム実質価格のブレイクポイント】

1895年・・・5176.48ドル
1916年・・・410.40ドル
2010年・・・345.00ドル

3.アルミニウム価格と商品循環の関係

 上のデータから、それぞれの商品循環のピークと価格との関係を整理すると以下のとおりです。

商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)

【名目価格】
1920年前後・・・〇
1950年前後・・・× 
1980年前後・・・〇 
2010年前後・・・〇 
 
【実質価格】
1920年前後・・・× 
1950年前後・・・× 
1980年前後・・・×
2010年前後・・・× 

【結論】
アルミニウムの実質価格は、データを取り始めた1895年に最高値を付けて以来、その後の商品循環の強気相場の何れにおいても、更新されていない。
現在のアルミニウムの実質価格は、1916年と比較すると、10分の1以下である。

また、1940年代以降の実質価格を見ても、基本的には、右肩下がりのトレンドが続いている。

イメージ 3

4.データ保存先 

今回、作成したデータは、SkyDriveに保存しておきました。 
ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、aluminum2_prices.xls を参照してください。

次回は、産業金属の一つである鉛の実質価格を求めてみたいと考えています。