2011年秋季 国際鉛亜鉛研究会(ILZSG) 需給予測

JOGMECが、2011年秋季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)参加報告を公開しています。


【鉛需給予測】

1-1-1.鉛:鉱石生産量 ~ 中国、インド及びメキシコで増産 ~
 2011年及び2012年の鉱山生産量は、中国、インド、メキシコでの増産に加えて、タジキスタン及びウズベキスタンでの新規鉱山の操業開始によりそれぞれ対前年比7.8%増の452万t、同比6.2%増の480万tと予想した。
 一方、豪州では、年間8.5万tの生産能力を持つIvernia社(本社:トロント)のMagellan鉱山が2011年4月から環境への影響を再調査するため操業を自主停止しており、再開の目途が立っていないため減産予想となっている。

1-1-2. 鉛:地金生産量 ~ 中国、インド及びメキシコで製錬能力増強 ~
 製錬での地金生産量は、中国での製錬能力強化が主な要因となり2011年は対前年比7.3%増の1,034万t、2012年は同比3.1%増の1,065万tとなる見通しである。
 中国以外では、2011年にインド北西部のRajasthan製錬所(製錬能力10万t/年)及び使用済み鉛酸蓄電池のリサイクルを行うメキシコのVilla de Garcia二次製錬所(製錬能力13万t/年)がそれぞれ操業を開始した。また2012年にはVilla de Garcia二次製錬所を操業する米Johnson Controls社が米サウスカロライナ州でも使用済み鉛酸蓄電池のリサイクル工場建設を完了するとともに、米EnviroFocus Technologiesもフロリダ州にある鉛酸蓄電池のリサイクル施設の拡張を予定している。

1-1-3. 鉛:地金消費量 ~ 中国、鉛電池生産工場の閉鎖にも関わらず消費増 ~
 2011年及び2012年の鉛地金消費量は、それぞれ対前年比6.1%増の1,015万t、同比4.0%増の1,056万tと予想した。主な理由は、2011年及び2012年の中国の見かけ消費量が、自動車販売の減速や環境への懸念に伴う鉛酸蓄電池の生産工場閉鎖にも関わらず、それぞれ対前年比7.4%増の453万t、同比6.0%増の480万tと見込まれたためである。

1-1-4. 鉛:世界の需給バランス ~ 2011年、2012年ともに供給過剰 ~
 2011年及び2012年の需給バランスは、それぞれ18.8万t、9.7万tの供給過剰となると予測した。地金消費量の増加が、中国及びインドでの新製錬所稼働、及びメキシコと米国での使用済み鉛蓄電池のリサイクル施設の稼働により相殺される形となる。

亜鉛需給予測】

1-2-1. 亜鉛:鉱山生産量 ~ 中国及びインドで増産~
 2011年の鉱山生産量は、中国、インド、カザフスタン、メキシコ及びロシアでの増産がペルー及び米国での減産を相殺し、対前年比4.3%増の1,277万t、2012年も中国及びインドでの増産が続き、同4.8%増の1,337万tとなると予想した。特にインドのRampura Agucha鉱山では設備拡大が行われ、世界最大規模の亜鉛鉱山となり、2011年の生産量は70万tを超えることが期待されている。

1-2-2. 亜鉛:地金生産量 ~ 韓国及び中国で製錬能力増強、南アでは製錬所閉鎖~
 亜鉛地金生産量は、中国、インド、韓国での製錬能力増強が主因となり、2011年は対前年比2.7%増の1,316万t、2012年は同2.4%増の1,348万tとなると予想した。一方アフリカでは、南アのGauteng亜鉛製錬所(製錬能力12万t/年)が高い操業費が理由で2011年末に閉鎖することになっており、アフリカの亜鉛地金生産国はアルジェリアナミビアのみとなる。

1-2-3. 亜鉛:地金消費量 ~ 中国の見かけ消費量の伸び率が減少 ~
 2011年及び2012年の亜鉛地金消費量は、それぞれ対前年比2.2%増の1,285万t、同比3.9%増の1,335万tと予想した。主な理由は、2011年に中国で在庫放出があったと考えられ、見掛け消費量の成長率が対前年比2.1%増に留まったが、2012年には同5.7%増に回復する見通しのためである。
 また欧州の亜鉛地金消費量は、2011年が対前年比2.5%増、2012年が同1.0%増と微増する。米国でも同様の傾向が見られ、2011年が対前年比1.4%増、2012年が同3.3%増である。両地域ともに消費量が増加基調にあるものの、世界経済危機前の水準をいまだ下回っている。

1-2-4. 亜鉛:世界の需給バランス ~ 2011年、2012年ともに供給過剰 ~
 需給バランスは2011年が31.7万tの供給過剰となる見通しで、2012年には過剰幅が微減し13.5万tの供給過剰となると予測した (表4)。