2010年(1-7月) 世界の亜鉛の需給動向

JOGMECが発表した、2010年1月~7月の亜鉛の国際市況と需給動向です。


●上記より引用

2.需給

2010 年1-6月期の亜鉛地金消費は、最大消費国中国が引き続き堅調な伸びとなったこと、日本、韓国、
ドイツなどで顕著な回復を示したことから前年同期比19.9%増の6,065 千tとなった。
2010 年1-6月期の亜鉛鉱山生産は、中国の大幅増、豪州、インドでの堅調な伸びにより前年同期比13.5%増の6,047 千tとなった。
2010 年1-6月期の亜鉛地金生産は、亜鉛価格の回復などを受けた中国の大幅増、カナダでの顕著な伸び
もあり前年同期比17.3%増の6,241 千tとなった。
その結果、2010 年1-6月期の亜鉛地金需給バランスは176 千tの供給超過となった。中国では採算割れを起こしていた2009 年の同時期に比べ亜鉛価格が回復していたこと、粗鋼生産が過去最大水準で推移していることなど需要の高まりから2010年1-6月期の鉱山生産は42%増、地金生産は30%増と大幅な回復を示している。なお、中国の粗鋼生産量は5 月も過去最高水準を更新し5,614 万t で1-5月累計では前年同期比24%増となった。

供給の増減に係わる要因としては、低水準な亜鉛価格を理由に操業停止していたペルーIscaycruz 鉱山(年産亜鉛170kt)が5月に操業再開されたこと、6月にメキシコPenasquito 鉱山で硫化鉱処理第2ラインが完成し、鉱石処理量が倍増となったこと、豪州Hobart 製錬所(年産260kt 規模)で5月に発生した火災とそれを受けた一時的減産(7月にはフル操業再開の見通しである)、米国Monaca 製錬所(年産140kt 規模)で7月に発生した爆発事故とそれを受けた生産停止による減産、6月に豪州Rosebery 鉱山(年産90kt 規模)で精鉱運搬の鉄道が地すべりにより脱線し精鉱供給が一時的に停止されたこと、8月に入り住民による反政府運動の影響でボリビアSan Cristobal 鉱山(生産規模200 千t/ 年)が生産停止状態になったことが挙げられる。
世界の亜鉛の需給バランスと価格の推移を図3-4 に示す。需給バランスは2009 年10 月からプラスを維持
しているが、その幅は縮小し2010 年6月にはほぼバランスしている。

3.2010年の需給予測

国際鉛亜鉛研究会によれば、2010 年の世界の亜鉛鉱石生産は前年比6.3 % 増の12,100 千t、地金生産は10.3%増の12,500 千t、地金消費は11.3%増の12,100千t、この結果、地金需給バランスは供給過剰が若干縮小すると予想される。
鉱石生産は2009 年、減産や休止した鉱山の一部が増2010 年の世界の鉛鉱石生産は前年比5.1%増の,200 千t、地金生産は7.5%増の9,400 千t、地金消費は7.3%増の9,300 千t、この結果、地金需給バランスは供給過剰が若干拡張すると予想される。

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亜鉛の需給はほぼバランスしており、需要も順調に伸びていることから、ファンダメンタルズは良好と言えます。