消費税率引き上げのタイミング

7月の参議院選挙後の日経新聞夕刊の「十字路」で、JPモルガン証券の菅野雅明さんが、消費税率引き上げのタイミングについて書かれていました。

●引用開始

今般の参議院選挙では、期せずして消費税増税について論戦が展開された。当初は消費税率引き上げに伴ういくつかの重要な議題(時期や税収の使途、社会保障費の見直し)が議論されるのでは、と淡い期待を抱いたが、結果は消費税増税に伴う逆進性の問題だけが取り上げられ、その他の議論は深まらなかった。

 選挙結果は有権者が消費税率引き上げ自体に違和感を持ったのか、菅首相の持ち出し方に問題があったのか不明だ。ただ今後、各党が消費税率引き上げを言い出しにくくなったことは事実だろう。

 消費税増税時期に関しては「景気が十分に回復するのを見届けて税率を引き上げるべきだ」という言い方をよく耳にするが、これは正しい政策なのだろうか。消費税増税が景気後退をもたらした例として語られるのが1997年4月の消費税率引き上げだが、本格的な景気後退は7月のアジア通貨危機、11月の金融危機でもたらされたものだ。

 また、97年半ばには世界的に景気が過熱し投資家の過剰なリスクテークがピークに達していたので、小さなきっかけで実体経済も市場も下降局面入りしやすい環境にあった。

 多くの市場参加者が先行きに強気になる時は、相場は転換点に差し掛かっていることが多い。政策判断も同じだ。多くの企業、消費者の景気判断が強気になったときが景気のピークになりやすい。次回の消費税率引き上げも景気回復を待つと結局景気のピークでの増税となり「消費税率引き上げが景気後退を招く」結果となりかねない。そうなると消費税率引き上げに対する拒否反応が一層強まり、それがさらに将来の消費税引き上げのタイミングを遅らせかねない、という悪循環に入る可能性がある。

 消費税引き上げが中長期的に見て必要ならば、景気の底入れを確認でき次第、むしろ早急に行うべき、というのが歴史の教訓であるように思える。(日経新聞

●引用終了

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もし、景気のピークで消費税が引き上げられるとすると、2013年以降になると思います。
その後、10年以上、税率引き上げが出来なくなるとすると、財政は、2015年以降、かなり、厳しくなるかもしれません。