2010年 世界の銅の需給動向(7月迄)

JOGMECより、最新の銅の国際市況と需給動向が発表されました。


●上記より引用

2.需給

〈供給・鉱石生産量〉
世界の鉱石生産は2010 年3月以降1,300 千tの水準にあり、4月に1,312 千t、5月に1,311 千t、6月に1,361 千tと推移している。1-6月期の世界鉱石生産は前年同期並の7,759 千tとなった。最大生産国のチリでは前年同期比1.6%増であった。その他主要国では、ペルー、米国では前年同期比で減となっておりチリの増産を打ち消した形になった。中国が前年同期比25.5%増であった。また、インドネシアGrasberg 銅・金山は粗鉱品位の低下化が主因となり前年同期比19.6%減であった。

供給に係わる増減要因としては、6月に入りメキシコCananea 鉱山(生産規模銅160 千t/ 年)でのストライキが終焉し、3年ぶりに生産再開の目途がたったこと、豪州Olympic Dum 鉱山(生産規模銅200 千t/ 年)が2009 年10 月より立坑故障により銅生産が75%減産となっていたが、5月にフル生産再開となったこと、DRC での鉱業ライセンス関係の紛争(Lonshi、TenkeFungurume など)、7月に豪州の資源超過利潤税案が撤回されより低税率の鉱物資源利用税が提案されたことによりErnest Henry、Prominent Hill の開発が再開されたこと、チリEscondida で品位低下により減産が見込まれることが挙げられる。

〈供給・銅地金生産量〉
世界の地金生産は1,600 千t水準で推移している。1-6月期では対前年同期比5.1%増の9,500 千tとなった。国別では最大生産国の中国が最高水準を維持し16.8%増と二桁台の成長となっているが、第2位のチリが1.7%減となっている。また日本は12.3%増と景気低迷による2009 年の低水準から回復の途上にある。中国では銅製錬所の能力増強や稼働率が高いことで5月に過去最高水準に達し、また長期契約の好条件なTC/RC により製錬所は採算がとれており増産が続いている模様。日本では電線向け出荷、伸銅品向けとも好調な出荷が続いている。

〈需要・銅地金消費量〉
地金消費は3月に1,756 千tのピークに達した後に、1,650 千t前後で推移している。1-6月期では対前年同期比4.2%増の9,579 千tとなった。中国の消費は3月には770 千tに達した後、4月に659 千t、5月に688 千t、6月に648 千tと推移している。1-6月期で見ると中国の銅地金消費は前年同期比2.6%増となっている。他の主要消費国では、米国は3.5%増、ドイツが22.4%増で、特に日本では電線・伸銅品ともに生産実績が好調なこともあり32.8%増と大幅な回復を示している。

〈需給バランス〉
2010 年に入っての需給バランスは3月以降供給不足で、4月に60 千t、5月に80 千t、6月に32 千tの供給不足で推移している。1-6月期は80 千tの供給不足となっている。

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銅のファンダメンタルズが良好な事が、最近の価格上昇につながっていると言えます。
ただし、2011年は、供給の増加と景気減速による消費減で、一時的に需給が緩和する見込みです。